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明日からテスト期間。授業は午前中のみで部活も休み。
日程を書き写し、ノートをカバンにしまった。
窓から見えるのはどんよりした空色。今にも雨が降ってきてきそうだ。今日はちゃんと天気予報を見ていたから、傘を持ってきて良かった……
外が一気に暗くなり、黒い雲が流れる。
帰りのホームルームが終わり、帰り支度をしている時だった。
ザーという激しい雨音。降りだした雨が校庭を濡らす。
「凄い雨だな。なぁ、朝日奈、傘持ってる?」
椿の声に振り向く。
「俺はちゃんと持ってきた」
そう答えると、椿が笑った。
「駅まで入れてよ」
突然の申し出に驚く。
つまり相合傘って事……? 椿と二人で……?
想像しただけで照れる。
こんな時になんて答えるのが正解なんだ。相合傘なんてしたら絶対にバレる……
「…………冗談だろ。男二人なんて」
精一杯、友達っぽい言葉を選ぶ。
つい動揺して強い口調になってしまった。もう少し違う言い方もあったかも――
後悔しても言った言葉は取り消せない。
「そうだな。確かに。男同士で相合傘していたら笑われるかもね」
余計な事を言って、椿のセリフに傷ついて。
聞いていられなくて、カバンを乱暴に机に置く。
「朝日奈?」
「…………」
ずっと隠していた俺の秘密。
全部捨てるつもりで、言ってやろうか。
お前の態度や言葉に振り回されて、上がったり下がったりするのに疲れた。彼女の話も聞きたくない。
お前の事、一年の時から好きだったって……
俺が言ったら、どうする……?
「急に家に誘ったら、どう思う?」
椿の言葉に何も出てこない。
誰を……? なんて聞かなくても分かってしまった。
家で二人きり――
考えたくないのに。嫌な想像が次から次に降ってくる。
「どんなタイミングですればいい……?」
「……何を」
聞き返したくないのに、勝手に口が動く。
「キス」
椿の頬は赤くなっていた。
頭を殴られたようなショックを受ける。
「笑うなよ。実はキスもした事なくて」
恥ずかしそうに頭をかく椿。
お試しって言っていたくせに。
キス――
あの子の事、好きになったのか……?
嫌だよ。椿。
目頭が熱い。
外を見る振りをして目を逸らした。
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