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屋上で待っていると、すぐに椿が来た。
その場に青山もいると気が付くと、椿は納得がいかない顔をした。
「なんで青山までいるんだよ」
明らかな敵意をぶつけられ、押し黙る。
その時、青山が俺の肩を抱いた。
「聞いたよ。お前らの関係」
青山の言葉に、椿は目線を上げた。
「彼女いるのに朝日奈をセフレ扱いするとか……最低だな。椿」
「違う! 俺が――」焦って否定すると、
「朝日奈は黙ってろ」と青山に言われてしまった。
「告白してOKをもらったんだ。これからは手を出すなよ」
青山が牽制するように強い口調で話した。
「……は?」
椿が確認するように俺の顔を見てくる。
「もう俺のものだから、朝日奈にちょっかい出さないでくれ」
青山が淡々と伝えた。
「…………嘘だろ」
椿が俺の手を握る。
「青山と付き合うのか……?」
椿の寂しそうな表情を見たら、どうしようもなくなる。
勘違いなんてしたくないのに……
「俺はお前と違って浮気はしない。朝日奈だけを大事にする」
少し喧嘩腰な口調の青山。
「朝日奈」
椿にじっと見られて、息苦しくなってくる。
「……彼女に悪いし、もう……やめないと……」
そう伝えると、椿の瞳が揺れた。
その時――
肩に手を置かれて、唇が重なった。
自分の身に起きた事が一瞬、理解できず固まる。
言葉も出てこない。
――青山の見ている前でキスされてしまった。
「朝日奈は俺のものだ……!」
その言葉を聞いても、唖然とするだけ。
「彼女いるくせによく言うよ。堂々と二股宣言か?」
厳しい口調。青山の演技にヒヤヒヤしつつ、告白紛いの言葉の意味を必死に考える。
「…………彼女はいない」
「え!?」
椿の言葉に思わずハモる。
「ただの幼馴染」
小さい声で呟かれ、余計分からなくなった。
「じゃ、なんで――」
「だって、お前が可愛い顔をするから」
「……え」
「俺が彼女の話をすると、泣きそうになるから、キュンとして」
意味が分からなくて瞬きを忘れる。
「ごめん。最初はお前を諦める為についた嘘だった。お前の事、邪な目で見ているって気付かれたくなくて。気持ち悪いって思われたくなかったから女の子が好きな振りをした。……『普通』だと思われたくて必死だったんだ」
椿の言葉が頭に入ってこない。
「お前が俺に笑ってくれるだけで堪らなくて――日に日に気持ちが募り、自分の気持ちが隠せなくなってきていた。男同士だし、言うつもりもなかった。なのに、お前が『練習しよう』とか『彼氏が前にいた』とか言うから――」
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