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篠突く雨
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これは産まれた時から決まっていた。
この家系で産まれる双子は必ず男女1人ずつ、まるで何かの呪いかのように。
そして産まれた子は先祖代々続いていた家系がこの先も長く続く事を願い男は当主に、女は鬼の花嫁となることが決まっている。
ぼくの父はこの家系の出で、母は他所の家系の出だ。父は母に一目惚れをし猛アタックの末の結婚だった。
母は女の子を欲しがった。
しかし
お腹の中の子が双子だと知ると精神を病んでしまった。
この家系で双子が産まれるのは50年に1度あるかないか。それなのになぜ自分の娘なのかと。
そして何を思ったのか、産まれた子の性別を偽ってしまった。
母の考えはこうだった。
娘を鬼の花嫁に送るなんて出来ない。なら息子を娘として育てて花嫁に送り、娘が息子として当主になれば問題ない。
1年後異例の事態が発生した。本家の血を濃く受け継ぐ者が妊娠した。その者のお腹の中に双子が宿っていた。さらにその双子は男児が2人だった。
本家の者どもは神の子だと祝福をし、2人を次期当主にすることを決めた。だが、生贄の子は母の娘となってしまった。
母は絶望など一切せず。幸運だと思った。
息子は花嫁となり、娘は当主としてでは無く接することが出来るからである。
母にとって娘だけが大切だったのだ。
鬼の花嫁は娘が16歳になったら送り出さなければならない。
そして
今日ぼくは16歳になった。
花嫁はどうなるか知らない、誰も帰ってきたことがないから。
生かされるかも、殺されるかも、鬼の気分次第だ。
娘が来るはずなのに息子が来たら来たら鬼ら怒ってしまうだろうか。
ぼくはどこか他人事のように考えていた。
ぼくが鬼の元へ行くのは誰そ彼時-たそかれとき-顔は見えないだろう。
今日は1日雨が降っている。篠突く雨が、
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