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知らぬが吉
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いつまでもしつこい巡をあしらいながら、俺たちは教室へと入る。
半分以上の生徒がもう教室の中にいて、各自好きなように騒いでいた。
当たり前のようにそれぞれの席へ座ると、巡はなんの前触れもなく話を再開させる。
「あーあ、いいよなぁ。結城先輩と同居」
「...何にもよくねぇよ」
「なんでだよ」
あんないい先輩そうそう居ない。
そう言って、机に頬をくっつけた巡が目線だけをこちらに向ける。
「いい先輩、ねぇ..」
「なんだよ、さっきいってた噂とかけ離れてるって話と関係あんの?」
「かけ離れてるっちゃあ、かけ離れてる」
「...先輩になんかされてんの?」
「されてるって...、っ、別にされてないけど!」
「なんでそこで焦るんだよ、怪しい」
「う、うるさいぞ!」
二度もいかがわしいコトをされたなんて..口が裂けても言えない。
しつこく問いかけてくる巡の頭にチョップを食らわし、俺はそそくさと態勢を前に向ける。
きっと巡は、あの蛍汰が見ず知らずの男に手を出す変態とは夢にも思っていないんだろう。
何も知らないって幸せなことだ、とどこか納得しながら、家に帰りたくないと俺は深いため息をついた。
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