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仲良しこよし
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狭い玄関で靴をぬぎ、ネクタイを解きながらリビングへ向かう。
「優真、制服ちゃんと洗濯機入れておいてね」
「おーう、..お前は俺の母親かよ」
「それを言うなら旦那さんでしょ」
「うるさい!」
蛍汰に聞こえないくらいの小声で言ったのに、何でしっかり聞こえてんだよ。
やつの耳は地獄耳か。
ブレザーをハンガーにかけ、カッターシャツを洗濯機に投げ入れ、そそくさと部屋着に着替える。
すると、俺と蛍汰の一連の会話をしっかり聞いていたらしい美琴さんが話しかけてきた。
「なんやお前えらい蛍汰と仲ええな」
「え、そうですか?」
「びっくりしたわー、付き合い長いんか」
「ぜんぜんですよ?昨日会ったばっかりだし...」
いままで体験したことのない最悪な出会い方でしたけど。
「え、まじでか!蛍汰のやつ懐きまくりやんけ!優真めっちゃ気に入られてんとちゃう?」
「気に入られてるってか、同室だから何となくとかじゃないっすか?」
「えー、蛍汰ってめっちゃ性格悪いねんけどなぁ..。おもんないな」
やっと蛍汰の弱み握れたと思ったのに。
そうため息をついた美琴さんの背後で、蛍汰はニコリと微笑みかける。
「全部きこえてるよ、美琴」
それはまさに身の毛がよだつような冷めた声。
耳元で聞こえただろう声に、美琴さんはビクビクと肩をあげた。
「け、蛍汰!驚かすなや!」
「美琴、家にお邪魔させてもらってるってこと、忘れてるの?」
「...っ、もうほんまお前こわいわ!」
こっちくんなアホ!
そう叫びながら、美琴さんは俺の背後に隠れる。
俺の後ろなら安全とでも思ってるんだろうか。
「ちょっと、優真にくっつかないで」
「あかん、殺される!優真たすけて!」
二人の巨体に板挟みになりながら、何だこの茶番は、と俺は深いため息をついた。
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