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「み、美琴さん!俺まだ死にたくない!まじで俺、殺される!!」
ガバッと勢いよく彼の肩を押すと、美琴さんは案外簡単に俺から離れてくれた。
「なんや、ちょっとイタズラが過ぎてもうたかな」
そんな怯えんでもええのに。
そう言って美琴さんはケラケラと笑う。
いやいやいや。
蛍汰の顔を見てからその台詞を言ってもらいたい。
鬼みたいな顔してるよ!?
美琴さんの悪ふざけが原因だよ!?
特に言葉を発するわけでもなく、無言のまま見つめてくる蛍汰が恐ろしくてたまらない。
本当に誰のおかげでこんな心臓に悪いをしたと思ってるんだか。
俺の心中を知ってか知らずか、美琴さんは「かわええなぁー、弄りがいあるなぁー」と俺の頭をぐしゃぐしゃと乱す。
すると不意に、妙な雰囲気の部屋に電子音が響いた。
「お、理人かな」
どうやら電子音は美琴さんの携帯から発信されているものらしく、彼はポケットには入っていたスマートフォンを取り出し、それを耳に当てる。
「はいはぁーい、俺や俺や。お、やっと着いたか。待ちわびとったで。いま行くわー」
端的に話を終わらせた美琴さんは、携帯を再びポケットの中へと収め腰をあげた。
「理人やっと来たみたいやから俺はここらへんで御暇させてもらうわぁ」
あれだけ好き勝手にかき乱しておいて、あっさりと部屋から出て行こうとする美琴さん。
何となく部屋に居づらい俺は「理人さん」への挨拶も兼ねて、美琴さんを外まで送ろうと立ち上がる。
しかし、それは蛍汰の手によって見事に阻まれた。
「優真?どこいくの?」
「え、あ...美琴さん見送らなきゃ」
「そんなの別にいらないよ」
「え、あ、でもその、理人さんに挨拶もしたいし」
「挨拶なんていつでも出来るよね?」
にっこりと綺麗な笑みを浮かべながら俺の手を掴む蛍汰。
本当に王子様みたいに綺麗な笑顔なのに、どうしてこんなに恐ろしく感じるのだろうか。
「...け、蛍汰、怒ってる?」
「ん?全然怒ってないよ」
そう言って笑った彼を見たとき、あまりの恐ろしさにうっかり泣きそうになった。
「優真、ごめんな。ちょっと悪ノリしすぎてもうた...」
ボソッと呟いた美琴さんは、そうっと部屋を後にした。
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