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side結城 蛍汰
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独占欲と嫉妬。
理人さんの口からでた単語は、俺とは縁のないもの。
抱いたことのない感情。
確かに、美琴が優真に絡むのは面白くなかった。
美琴を優真が受け入れているのも、俺は全然面白くなかった。
だから俺は彼に「お仕置き」をしたんだ。
優真を寝室に運んだとき、美琴と理人さんのことが頭に浮かばなかったわけじゃない。
いつも部屋を空けていることの多い2人がタイミングよくどちらも部屋にいる。
今、優真を抱けば確実に2人には関係を知られる。
それでも構わないと思った。
むしろ、知られればいいと。
そうすればきっと美琴は優真に下手な手を出せなくなると思った。
(それが、独占欲と嫉妬...?)
確かに優真は可愛い。
思い通りに動いてくれないのも、とてつもなく快感に弱いのも。
素直じゃないところも、全部可愛い。
それは今まで誰かに感じたことのないものだけど、それでもただそれだけー..。
好きとか愛してるとか、そういった言葉、俺は好きじゃない。
ぐるぐると考えれば考える程深みにはまって行くようで、何処と無く息が苦しくなった。
そんな俺を見透かしてる様に、理人さんは俺の目を見つめる。
「僕が結城くんの気持ちを強要することは出来ないよ、どう感じるかは結城くん次第だ」
初めて出会った時からずっと、掴みどころの無い優しい人。
「でも、今回は僕たちにも非はあるからね。仲直りのお手伝いくらいはするよ」
「仲直り、ですか?」
「そうだよ、仲直り!だって、優真くん怒っていっちゃったじゃない」
「あ、」
そう。優真は怒ってた。
傷ついた顔をして、怒って走っていってしまった。
美琴たちに昨夜の情事が筒抜けだったこと、優真に知られれば怒られるだろうとは思っていた。
でも、違った。
自分が思っていた彼の怒り方と、本当の彼のリアクションは、見事にかみ合わなかった。
なんで優真は、あんなに傷ついた顔をしたんだろう。
「なんで怒ってるのか分からないなら、本人に聞けばいい、結城は大人だけど子供だからねっ!それと同じ様に、自分の気持ちが分かったらそれを優真くんに伝えればいいだけの話だよ」
結城くんは子供だけど、大人だからねっ!
そう言った彼は、優しい微笑みを零しながらずっと後ろで黙っていた美琴の手を取る。
「はやくしないと遅刻しちゃう!もうっ、余裕もって部屋出たのが台無しだよっ」
やっぱり理人さんは不思議な人だ。
ちゃんと優真と話をして、ちゃんと分かりあって、ちゃんと向き合おう。
ぐっと心にそう決めて、俺は理人さんたちの後をおった。
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