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side 上尾 優真
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一人で歩く帰り道。
家に帰れば蛍汰がいるかもしれないと思うだけで、心臓が痛くなる。
一体いつまで気まずいままなんだろうか。
そんなことを考えながらとぼとぼ歩く。
...帰ったら思い切って色々話題を振ってみようかな。
よしっと気合いを入れて角を曲がったとき、
「ねぇ、1年の上尾優真くんてきみ?」
随分と可愛らしい声が俺を呼んだ。
振り返れば、そこにいたのは3人の女子生徒。
制服の着崩し方からして多分上級生だろう。
「あ、はい。」
見たこともない先輩だけど、俺何かしただろうか。
そう思いながら返事をすると、値踏みでもされるかの様に上から下まで舐めるような視線が這う。
「...なんか普通ね」
「うん。予想と違うかも」
「ちょっと期待はずれ」
コソコソと話しているつもりなんだろうか。
...丸聞こえなんだけど。
確かに俺は何の取り柄もない平凡で普通の男子高生だけど、目の前で言われると少しは傷つく。
「..あのっ、俺になにか用ですか?」
聞き続けられる自信のない俺は、遮るように声を張った。
それに驚いたのか、先輩たちは肩をビクッと揺らしてから再びこちらを向く。
「用がなかったら引き止めてなんかないわよっ」
「は、はぁ..」
やっぱり彼女たちは何か怒ってるのかな。
口ぶりが嫌に挑発的だ。
「あなた、王子と一緒に住んでるって本当なの?」
「え、王子?」
誰だよ王子って。
一瞬浮かんだ疑問も、そういえば..とすぐに消える。
俺の前では王子って感じじゃないからつい忘れてしまっていたけど、蛍汰は学校では王子さま扱いだったんだ。
「まぁ、一緒に住んでますね」
「なっ...1年のくせにっ。生意気だとは思わないわけ!?図々しいわよ!」
「え、いや..」
ず、図々しいって言われても..、自分で一緒に住みたいって言ったわけじゃないし!
俺が選んだわけじゃないのに。
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