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平和な朝
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「蛍汰!はーやーくー」
「はいはい」
玄関先でぴょんぴょんと飛び跳ねる優真。
朝、いつもと同じ時間に起きたのに、相変わらず朝に弱い優真は意識が目覚めるのに時間がかかる。
「遅刻したらどうすんだよっ」
「そんなこと言ったって、優真がいつまでも動かないから」
「...う、それは..」
図星をつかれて狼狽える優真の頭をぽんぽんと軽くなでる。
「はやく行こ、優真」
「っ、わかってる!」
からかわれたのだと自覚したのか、ぷっくりと頬を膨らませた優真は小走りで俺の後ろを付いてきた。
「そういえば今日は新入生歓迎会だね」
「あー、忘れてた。歓迎会ってどんなことするんだよ」
「内容は毎年違うけど、だいたいは生徒会のスピーチと部活動紹介と...、あとは生徒のだしものだね」
「だしものの内容が知りたいの!」
「それは見てのお楽しみだよ。まぁすごく小規模な文化祭みたいなものだよ」
ふふふ、と微笑む俺に、優真はケチっとまたまた頬を膨らませる。
だけどその瞳はどこかキラキラしていて、多分少なからず楽しみにしていることが分かる。
「今年のはきっと楽しくなるんじゃないかな」
「なんで?」
「今年は美琴が実行委員長だから」
「あー、そっか!」
「お祭り騒ぎみたいなの好きだからね」
ちょっとグレてそうな見た目だけど、何だかんだで関西人らしいというか..。
「蛍汰はでないのか?」
「出ないよ、ああいうの得意じゃないしね」
つい昨日までは、優真とまたこんな風に話しながら登校できるとは思っていなかった。
やっぱり彼の隣はすごく落ち着く。
心の中でそんなことを思いながら、校門をくぐった俺たちは昇降口の前で別れた。
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