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話が一転したことに、体育館中が一瞬ざわついた。
それでも俺はそんなものお構いなしに話を続ける。
随分勝手だとは思うけど、今日の俺は優真の為にここに立っているんだ。
俺の言葉の全ては、優真に向けられるものだから。
体育館の袖で美琴が戸惑っているのが見えた。
何を言いだすんだとでも言いたげな表情でこちらを見ている。
この場を壊したいわけじゃないけど、ぶっちゃけて言ってしまえば、俺は美琴よりも優真の方が大事だから。
ごめんねと大丈夫の意を込めて、美琴に一つ微笑んでから俺は口を開く。
「新年度を迎え、新入生を迎え、今まで俺一人で暮らしていた家にもルームメイトが来ました。一年の上尾優真。彼のことを知っている人もいるかもしれません」
いきなり何の前触れもなく自分の名前が出てきたことに驚愕の表情を見せる優真。
彼のクラスメイトたちもざわざわと動揺しているのが分かる。
「優真はすごくいい子で俺はとても気に入っています。彼と出会えてよかったと思っているし、一緒に暮らしている毎日が楽しいです」
つらつらと口から出る言葉は全部本当のことで、次から次へと止まることがない。
顔を赤くして俺を見つめる優真から目を離さないように、俺の気持ちがよく伝わるように、言葉を紡ぐ。
何だか惚気ている様で口元がにやけてしまうのを必死にこらえた。
「ですが、俺は先日家の前で優真が言いがかりをつけられているのを目撃しました。
今まで俺の部屋に誰かが来るということはなかったし、俺は自分の立場も理解しているつもりだが、優真を傷つけることは許さない。優真に理不尽な感情を向けることがない様によろしくお願いします」
たとえ誰であろうと。
女だろうと。
優真を傷つけるなら容赦はしない。
優真から笑顔を奪うなら、俺から優真を奪うなら、それ相応の覚悟をしてもらう。
「このような祝いの場で話すことではないのは分かっています。ですが、俺にとって優真がどれほど大切な存在であるか..頭の隅に入れておいてください」
シンと静まり返った体育館に張り詰める緊張の糸。
それをプツンと切るように、俺は最後に微笑んだ。
「俺からの話は以上です」
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