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慎也の平日2
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「兄さん…起きて…って…ば…」
そう言って俺は、柔らかい兄さんのほっぺたをツンとつついた。
兄さんは一度目を覚ましたけどまだ寝ぼけてるみたいで、俺に触れられてもふにゃふにゃ笑っている。
「も…ちょっと…だけぇ…」
可愛いなあ、ナニかをおねだりしてるみたいに見えてきたダメだこれはヤバい。
「ダメだよ。ちゃんと起きないと。俺が今起こさないと大学の講義が朝からじゃないから、また寝ちゃうでしょ?」
そう言うと兄さんは観念したのかモゾモゾとベッドから出てきた。
「朝ご飯出来てるから、一緒に食べよう。」
「ん。」
兄さんは こくんと頷いた。
朝ご飯を兄さんと一緒に食べるのも、俺の一日の楽しみのひとつだ。
平日は昼は学校で食べるし、夜は俺は部活で遅いし兄さんも大学生になって忙しいのか時間が合わない。
兄さんが大学生になってからというものの、兄さんがどこで何してるのかが全然わからなくなって、もどかしく感じる。
二歳の年の差が憎い。
兄さんに目をやると、本当に小動物みたいに もきゅもきゅとご飯を食べていた。
「兄さん、美味しい?」
「ん!」
兄さんが輝くような笑顔を見せた。
この笑顔だけで一日頑張れる。
いつも兄さんが食べ終わったのを確認して、俺は家を出る。
「いってきます」
「いってらっしゃーい!今日も一日頑張ってね!」
朝ご飯を食べ終わるころには目が覚めるようで、いつも通りの口調に戻る。
太陽のような笑顔はいつでも変わらなくて、俺の胸を熱くする。
後ろ髪を引かれるような思いで、俺は家を後にした。
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