アダルトコンテンツが含まれます。
18歳以上ですか?
- 文字サイズ:
- 行間:
- 背景色:
-
兄さんのバイト2
-
「……………はぁ…………」
生徒会役員特権で出入り自由になった屋上で一人ため息をつく。
息を吸い込んだときに香水の香りがスッと鼻に入ってきて、昨日まであの人の手元にあったのだと思うと口元が緩んだ。
「おい慎也。何ニヤニヤしてやがる、気持ちワリィ。」
圭吾も屋上にサボりに来たみたいだ。
「圭吾………俺そんなにニヤニヤしてた?」
自覚はあったけど、まさかそんなにとは。
「してる。気持ちワリィ。」
「ごめんごめん、今戻すよ。」
顔に力を入れて戻そうとする。
「いや、別に俺と2人の時は楽にしてていい。」
口調はキツイし、見た目は不良っぽいけど、俺の事を気遣ってくれる優しさがある。
他の奴らと違って俺に媚びたりしないし、すごい落ち着く。
「ありがとう」
「ああ。そんなことより、ニヤニヤしてた理由を教えろよ。」
「香水貰ったんだ。」
「え?あのスゲー大切にしてるって言ってたコレクション達?」
「そう。」
「よかったな…………」
心から『よかったな』って言われるとなんたかなあ………
「よかっただろ?でもよくないんだ。」
「は????」
圭吾は訳がわからない、って顔してる。
だから俺は最近のあの人の様子を全部圭吾に話した。
「なるほどな。で?お前は?どーすんの?」
香水を使えない事情は よくわからないけど、あの人の興味がコーヒーに向いていることはわかった。
「そうだな……」
そうなれば、することはひとつ………
コーヒーの猛勉強だ。
あの人がコーヒーの事を話して来た時に
『俺もコーヒー好きなんだ。一緒だね。』
とか言えるくらいに なっておかないと。
そうして俺はコーヒーの勉強を始めた。
現在の設定
文字サイズ
行間
背景色
×
41 / 84