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嫌いなやつ8
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「ん…………」
目覚めたのは身体の不思議な重さとむず痒さのせいだった。
俺の身体の上で何かが動いているような感覚が気持ち悪い。
ようやく目が暗さに慣れてその原因を確認することが出来た。
のはよかったのだが、
「お前、何やって…………」
俺の目に入ったのは、俺の上半身を弄ぶ山地優征だった。
視覚的におかしい、頭がおかしくなりそうだ。
「何って、わかるでしょ?ムラムラしちゃってさあ。」
そう言って俺の身体にチュッチュとキスを落とす。気持ちが悪い。
そもそも俺のこと嫌いなくせに何をやっているんだ。
ああ、そうか。
「男とするのが趣味なのか……」
それにしても何も俺みたいな背の高い男を相手にしなくてもいいだろうと、飽きずに俺の身体を弄ぶ男を睨みつける。
「……さあ、でもまあ今はすごくいい気持ちだっていうのは確かかな。体格のいい男を組み敷くのって、征服感があるし?」
楽しそうに行為を続けながら言う男の顔はいつもと余りにも違っていて、まるで現実では無いように感じられた。
「………ふふ、慎也。夢じゃないよ…」
そんな俺の気持ちを察したのか、そう言って俺の乳首を甘噛みした。
「………っ…」
他人に噛まれたことなんてあるはずもなくて、身体が驚く。
それに気をよくしたのか、男は何度も甘噛みした。
その度になんだか変な刺激を感じて、ビクンと身体がはねる。
「ほら、感じてる、慎也ってばけっこう敏感なんだ。」
ふふ、と嗤う息が肌にかかる。
ハッと意識が覚醒した。
「やめろ、ふざけるな。気持ち悪い。」
俺の身体を弄る手を払いのけ悪態をつく。
「やめてもいいけど、困るのは慎也だと思うなあ。」
男は機嫌を悪くしたのか、急に笑顔に翳りが見えた。
「どういう意味だ。」
むしろ困るとしたら欲求不満を持て余してるお前だろ。
「慎也が、俺を受け入れてくれないなら、浩也をヤっちゃおうと思って。」
……………………は?
「ふざけるな。体格のいい男がいいんだろ?だったら兄さんには関係ない。そもそも兄さんは男に抱かれたりしない。」
少なくともお前みたいなやつにはな!
「そう?でも浩也は受け入れてくれると思うけど?押しに弱そうだし。困ってるって言えば簡単だろうな。」
いくら兄さんでも身体を許したりしないだろ…
いや、でも無いとは言い切れない。自分が泣いてでも人を笑顔にさせるような人間だぞ。
「……………………………」
俺はどうすれば………
「そっか、なら仕方ないな。」
しばらくの沈黙のあと俺から手を離し、ベッドから降りて部屋を出て行こうとする。
「……………?」
「浩也の部屋に行く。」
そういう男の顔は醜く笑っていて、寒気を感じるほど不気味だった。
こんなやつを兄さんの部屋に行かせるべきではないだろう。
それに、もしも無理矢理コイツが兄さんに迫るようなことがあったなら、兄さんが勝てるはずがない。
コイツは俺より背が高くて、力も強いのだから。
「………待て………………」
「ん?」
ゆっくりと振り返った男は意地悪い表情を浮かべている。
「待て、って言ってるんだ。」
男はその言葉を聞いてこちらへやって来る。
ベッドに腰掛けていた俺を押し倒し、その上に跨がった。
ベッドがギシリと嫌な音を立てた。
「引き止めたってことは、どうなるかわかってるんだよなあ……?」
一瞬爬虫類のように冷たい瞳で、その後は獲物を狙う猛禽類のような瞳で俺を見た。
兄さんを守るためだ。俺の身体なんて、どうなってもいい。
こんなこと、大したことではない。
俺が、堪えれば、いいだけ。
「………わかって………んん、」
やっとのことで出した声は、口を塞がれて、消えた。
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