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天馬の苛立ち
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天馬の席で、厳兜が迎えに来るまでの時間、英語の課題を教わっているオレの目の前に、ごとんっと音を立て置かれたスマートフォン。
何事かと視線を上げれば、そこには、こめかみに青筋を立てた女子生徒が立っていた。
「なに?」
訝しげに声を放ったオレに、彼女は、スマートフォンの画面を指差した。
「あんたの彼氏の浮気の証拠っ」
そこに映っているのは、厳兜と厳兜の彼女の姿だった。
「許せないんだけどっ。…断然、私は畠中の味方だから! 女と浮気するなんて、サイテーっ!」
バンバンと机を叩く彼女に、天馬は驚きに固まり、オレは呆れる。
「浮気でもなんでもねぇよ。…表現するなら、そっちが本妻でオレが愛人」
てか、愛人でもなんでもねぇけど。
今更、なんの関係もないと弁明するのも面倒で、オレは必要最低限の言葉に止めた。
浮気だと騒ぎ立てる彼女に、小指を立てて見せるオレ。
ーーガタン!
大きな音に、瞳を向ける。
視線の先では、勢いよく立ち上がった天馬が、オレを睨み下ろしていた。
「愛人って、なんだよ?」
苛立ちを隠さない棘に塗れた声を放った天馬に、オレはきょとんとした瞳を向けた。
「男だから? 同性だからって、そんなセフレみたいな扱いねぇだろっ」
ぐんっと身体を反転させた天馬は、厳兜の教室に乗り込んで行きそうな勢いだ。
慌て天馬の腕を掴もうと伸ばした手は、すかっと空を掴む。
教室を出ていく天馬を追いかけ、捕まえる。
「放せよっ」
腕を掴むオレを振り払おうとするように暴れる天馬に、深く息を吐く。
「ちょっと来い」
厳兜の教室の扉を睨みつけながら、不服げにオレに引きずられる天馬を屋上へと誘った。
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