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「コタ、ばればれだし。いつも俺のこと見てたろ」
「え、え?」
「そのくせ自粛期間入ってもなんの連絡もよこさねえし」
「そ、れは…、あっ、ぁ、」
ハルがゆっくりと動きを再開させて、言葉が途切れてしまう。
「まあいいや、実際会えたし」
「待っ、ハル、かのじょ!彼女にわるい、これ以上は、」
「はあ?まだそんなはなししてんの」
「へ…」
ハルが、汗で束になった俺の前髪をかきあげて、額に唇を落とす。
「あんなの嘘」
「う、うそ…?」
「彼女は嘘。童貞も嘘。全部嘘」
「なにそれ…」
ハルは俺の顔中をちゅ、ちゅ、と唇で軽く吸いながら、「嘘に決まってるだろ」なんて言い始めて。
「コタは、俺に会いたくなかった?」
耳元で掠れた声をだされると、ぞくぞくと身体が震えてしまう。
「会いたかった、」
「俺も」
頭が追いつかない。彼女は嘘?なんのための?でも、ハルが俺に会いたかったって、もうその事実だけで目頭があつくなるのがわかった。
目尻からぼろぼろと涙が落ちて、ハルがそれをぺろりと舐めとってしまう。
「ごめん、いじめすぎた」
「ん…」
「全然連絡来ないし、もう、言わせてやろうって思って呼んだ」
「い、言わせるって…」
「コタ、俺のこと好きじゃん」
「う…」
「だろ?」
「うん」
「うんじゃなくて」
「、好き」
よくできました、とハルが俺のまぶたにキスをする。
ハルが少し体勢を変えるたびに俺の奥にぐ、と入ってきて、そのたび泣きそうになるくらいに気持ちいい。
「コタ、鈍感だから。原田と楽しそうにメッセ始めるし。なんか気に食わなくて」
いつも穏やかなハルが、「気に食わない」なんてストレートに言うのは意外だ。たぶんそれが伝わったのだろう、「コタのことだと余裕ないから、俺」とハルが言った。
「マキちゃんは…、たぶんハルのことが好きだよ。だから俺に連絡来るだけで」
「はー…」
「いや、ほんとに。ハルの話題多いし、マキちゃん」
「それさ、コタの食いつきがいいからだろ」
「え」
「返事かえってくる内容選ぶだろ普通に。俺一度もメッセ来たことないけど」
「え?!」
ほんとに鈍感だな、とハルは言った。そこが可愛いんだけど、と付け足して。
「え、彼女は、うそで、え?マキちゃんのことも好きとかでは、ない?」
「だからなんで原田」
「まえマキちゃん困ってるとき、気づいて助けてたし」
「そーだっけ?」
「そう、俺、助けらんなくてでもハルが、」
「あー、詳しくは覚えてないけど、俺コタのことよく見てたから。コタが困ってそうだったら動くよ俺は」
「え」
ハルが俺のことを見てた?そんな前から?
「あの、」
「ん?」
「ハルって、俺のこと、その…好きなの?」
「は?さっきからそう言ってるだろ」
「言ってないよ!」
「好きだよ、…急にしめんな、」
「ごめ、」
「…動いていい?」
「ん、」
ハルの首に腕をまわすと、「可愛い」とハルが優しく笑う。
ああ、その顔。その顔が大好きだよ、ハル。
「あ、ハルっ、」
「コタ」
「好き、大好き、」
「俺のほうが好きだよ」
「や、」
「いや、絶対に。俺のほうが先だし、俺のほうが重いよ」
「え」
「他のやつのこと見たら、ただじゃおかない」
「あっ、待っ、ハル…!」
ハルの顔がゆがんで、でもそれがめちゃくちゃ綺麗で。限界がきて俺がイくと、ハルもすぐに俺の中に出した。
「好きだよ」、そう言いながら。
*
「ねえハル、最初からそのつもりだったの」
「まあ。いけるとこまではいくつもりだったけど」
「…」
「何睨んでんの」
ハルと布団の中で答え合わせをする。
「だから準備万端だったんだ!ローションとか!俺が弱い白ワインとか!…あー!ハル、俺来る前シャワー浴びただろ!」
「ああ」
「やたらいいにおいだったもんな!無味だったし!」
「無味いうなや」
「俺汗だくだったのに!チャリ漕いできて!」
「どんなハルでも可愛いけどな」
「〜!」
ぽんぽんと頭を撫でられて、さらりとそんなことを言われたらたまったもんじゃない。
ハルにくっついて顔が見えないようにする。
「…てか童貞も嘘って!嘘ばっかじゃん!」
「ごめんて」
「仲間だと思ったのに!」
「え?」
「…」
「コタ、経験ないの?」
「ないわ!なんか勝手に経験豊富キャラ定着してただけだし!」
「うわーまじか」
「引くなよ!」
「引いてねえよ、うわー、嬉しい誤算だわ何これ」
「全然!嬉しくない!」
顔は見えないけどたぶんハルがにやにやしているので、腕をつねってみたけど全然効いてなさそうだ。
「コタ優しいから。来るもの拒まずだって話普通に信じてた」
「どんなイメージだよそれ」
「それにエロいし」
「…」
もう何も言うまい。
「コタ」
「…」
「コータ」
「なに」
「好きだよ」
「、俺も。俺も好きだよ」
「バイトないならしばらくここいなよ」
「授業あるし」
「オンラインだろ。パソコン買い替えたから貸すし」
「…後ろに映る部屋一緒だったら怪しいだろ」
「背景かえればいーだろ」
「…」
全部あっさりと解決されて、言い返せない。
「コタ」
「…わかった。ここで自粛する」
シフトは減らされるわ、オンライン授業ばっかだわ、みんなに会えないわ。最悪だって思ってたけど。
こうやってハルといられるなら、もうちょっとだけ頑張れるかもしれない。
そんなことを思った俺だった。
おわり
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