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証
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“真面目だねぇ”
その言葉が耳に残る。
「高校の時はT大に合格する事だけを目標にひたすら勉強して、そして合格して、楽しい毎日が待っているって、想像していました。友達と遊んだり、彼女も作って、恋愛したり」
「うん」
「でも現実は全然違くて、俺の学部に女子なんてほとんど居ないし、勉強ばっかりやってきたから人とコミュニケーションを取るの、なんとなく苦手になってて…。声を掛けてくれる奴もいたけれど、何を喋ればいいのかも分からなくて、そのうちに、みんな友達を作って、気がついたら、俺はいつもひとりぼっちだった」
目の前の缶ビールを手に取ると、
俺は喉へと流し込んだ。
「そしたら、高校の時に必死で勉強した事も、T大に入った事も馬鹿みたいに思えてきちゃって。そんな事を考えていたら、誰かひとりでも俺の傍にいてくれる人が欲しくて」
「アプリに登録したって訳だ?」
俺はコクリとうなづいた。
「ふーん。ね、潤一君。潤一君が頑張った事は絶対馬鹿な事じゃない。T大に入学した事も、間違いなく凄く立派な事。君が頑張った証。折角頑張ったんだから、もっと自分を認めて自信を持っていいんだよ」
「俺が頑張った証…」
「そう、周りの人達と比べる必要なんてないんだから!潤一君は潤一君らしく。そうしていればきっと君に惹き付けられる人が現れるから」
「いいですよ、そんなお世辞言ってくれなくても」
「そんな事ないよ。少なくとも俺は潤一君の事魅力的な子だと思ってる。真面目で、頑張り屋さんで」
「そんな風に、俺の事知ってるみたいな言い方、やめてください。なんか、恥ずかしい……」
「ハハッごめんごめん。なんでかな?相性99%の相手だからかな?君の事が放っておけないんだよね。ね、折角俺たち出逢えたんだしさ、潤一君の思ってる事、感じてる事もっと聞かせてよ」
誠さんが俺の胸を指さした。
それがなんだか、俺の気持ちをフッと軽くしてくれて、
俺は堰を切ったかのように、色んな事を話した。
本当に色んな事を。
大学の事、高校時代の事、地元の事
初恋の事…。
そして、俺がキスもした事がない
童貞だって事までも。
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