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悪夢の夜
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目覚めてぎょっとなった。
俺たちは縛られていた。
ロープはベッド脇の、猫足の、外国製の重いスツールに結ばれていて、俺らはその場から、殆ど動けない。
ベッド…キングサイズ…客間?
俺たちはいつ客間に移った?
貴は?
貴之は?
首を巡らすと、かろうじてベッド上が見えたが、見なければ良かった。
貴は犯られていた。
二人の中年男に。
二人は久のところの下働きで、加納と丸山だったか、その二人が貴を押しひしいでいた。
丸山が貴を貫き、加納が自分のをしゃぶらせている。
「貴之っ」
叫んでも貴之は反応らしい反応をしない。
まだクスリの影響下にあるのだろう、とろんとした目で快楽と、苦痛をはざまを行き来しているようだ。
俺は久之を睨んだ。
「あいつら下働きだろ? 何で…」
「俺が呼んだ。おまえを縛らせようと思って…そしたら…こんなことに…」
「何で俺を縛、」
聞くまでもない。
このバカは、あくまで貴之を使い続けようとしたのだ。
「でもってこのざまか」
「すまない雄太。こんなことになるならおまえの言う通り…貴之を…自由にしてやればよかった…」
久之は泣いていたが、俺は怒りでどうにかなりそうだった。
この間も貴は犯されている。
口を使っていた加納が、極まって放つ。
「おうっ」
貴が噎せて精液を吐く。
背中が揺れ、後ろを使っていた丸山が、
「バ、バカ、急に動くな、あっ」
放ったらしい、抜いて振りながら、こっちを振り向いた。
「よく飼い慣らしてあるなあ。実の弟を。最低の畜生だなてめえら」
「おまえに言われる筋合いはない!」
久之が言い返すと、丸山はいきなり飛び降りてきて、いきなり久之に蹴りつけた。
ごすっと嫌な音がして、久之の鼻梁が曲がった。
「うがあああっ!」
軟骨が折れたのだ。
「久之っ」
のた打ち回る久を救う術もないままに、俺は苛立ちの声を上げた。
「何でこんなことを!」
「自分らの胸に聞けや。俺は升田美弥の兄、あいつは多岐菜穂の親だ」
マスダミヤ?
タキナホ?
俺たちが、使い捨てたメイド…、か?
名前なんか覚えてない。
いや、そんなことより貴之…
「貴之には関係ないだろうっ。貴は何もしてない!」
「美弥も菜穂もだ。違うか?」
丸山(升田?)が決めつける。
言う通りだ、だけど…
「まあ遠慮するな。おまえらも可愛がってやるからよ」
言いながら、升田が近づいて来る。
やめろ。
俺は、俺は…
身をよじっても縛めはびくともしない。
やめろおおおおおおっ!
三昼夜にわたって俺たちは暴行を受けた。
貴之は性的に。
俺たちは性的にも、肉体的にも蹂躙された。
殴る蹴るされた俺たちの躰は、痣だらけ傷だらけ、ひどく腫れ上がって、鏡見ても自分だかどうだかわからないくらいだ。
そこまで暴力を与えた相手を抱ける、奴らが心底怖かった。
そう、奴らは俺たちを牛や豚として犯し、人としては一切扱わなかった。
そんな奴らが貴之を抱く、そのやり方が少しだけソフトなのは、俺たちを悔しがらせるためであり、やや乱暴に扱う時は、かれを救えない絶望感を、俺たちに植え付けたいためなのだった。
今も貴之は、だだっ広いベッドの上で、胡座(あぐら)をかいている升田の股間に頭を突っ込みまされ、その一物をしゃぶらされている。
「いいなあ貴之、上手だ、すっげえ感じる」
久之が、俺の横で、ぶるっと怒りに震えるのを感じるが、それはもちろん升田にも伝わっている。
「てめえの弟はどうやら、生まれついての淫売だな」
「きさまーっ」
挑発された久之が、怒りの声を上げたが、升田にぎろりと一瞥されただけで押し黙った。
升田はくすくす笑った。
「ふうん。兄ちゃん止めないんだ。じゃ遠慮なく、おかわりいただくかな」
貴之を引き起こし、胸合わせに胡座に乗せたかと思うと、ずぶりと一撃で貫いた。
初めてから一週間も経っていないのに、大人の男根をぬるりと呑み込むその穴が、俺たちの罪を物語っている。
「ああっ」
吐息し貴之が、升田の背中にしがみつく。
しなやかな腕、なまめく背中、升田に引き上げられ、沈められ、上下運動を繰り返される都度、繰り返される貴の吐息は、徐々に高まって、貴は小刻みに震え始めた。
「だめ、だめ、僕、おかしくなっ…ちゃううっ」
のけぞった貴の爪が、升田の背中に深い爪跡を刻んでいる。
イったのだ。
俺たち以外の男の腕の中で。
イったのだ。
「てめえ、楽しんでるんじゃねえよっ」
いきなり多岐が升田から、貴を引き離した。
「楽しませてどーすんだよ。こいつら惨めにするために来たんだろ? 手荒にすんだよもっと」
多岐は貴之を俯せに押さえつけ、脚を広く開かせた。
俺と久之が息を呑む。
多岐の手には細長い何か。
アナル…バイブ…?
升田でさえ息を呑んだ勢いで、多岐はそれを一気に、貴の後ろにねじ込んだ。
「や、あ、あっ」
半睡状態で、どんな性技にも従っていた貴之が、この時ばかりは抗った。
「やだ、これやだ、これはやだあっっ!」
快感にいや増す嫌悪を叫び、泣きながら身をよじる貴之の声が室内を満たす。
「嫌だろう。でもいいんだろう、淫売め」
「やだ…やだ、ああ、やめ……」
貴之は泣きながら、俺たちに向けて手を伸ばした。
「にい…雄にい…助けて…」
そんな貴之の言葉を遮るように、多岐は乱暴なキスで唇を塞ぐと、溢れるほどの多量の唾液を、貴の口腔に流し込んでゆく。
貴之は噎せ、嫌がって首をを左右に振る。
可哀想な貴之。
おまえには欠片も罪はない。
なのに。
なのにそんなおまえを見ているうちに、俺も久之も反応し始めていたのだ。
俺たちは互いを見た。
畜生、俺たちはどこまで。
多岐はせせら笑いながら、俺たちの様子を、貴之に聞かせていた。
「助けて欲しいよなあ。兄ちゃんだもんなあ。けど無理だなあ。兄ちゃんたち、ちんこおっ立ててるからなあ。俺らと一緒におまえヤりたいとよ。どうだ。相手してやるか」
貴は恐怖の目を開く。
クスリの効果が切れてきて、人らしい恐怖が戻っている。
なのにそんなかれを見ている俺たちが今、激しく欲求している。
思えば三日経過して、俺らのタンクは再び満杯だ。
多岐は大人だけあって、執拗なやり方で貴之を攻める。
バイブで後ろを攻めながら、前を弄び、かぶりつくようなキスはそのまま、次第に貴は高まって、
「あああああっ」
多岐の手のひらが白濁に濡れた…
それでも多岐はやめない。
肩を噛み、乳首を揉み、前をなぶる手もバイブもそのままに、繰り返し繰り返し、貴を絶頂に導いてゆく。
二度、三度、貴は繰り返し放ち過ぎて、透明な少量しか放てなくなっている。
「もう、やだ、」
這って多岐から逃れようとする貴の、足首を掴んで多岐が引き戻す。
バイブを引き抜いて自分を宛てがい、多岐が貫くと、貴は半開きの口で何か言かけて、そのま大きく口を開いて何か叫んだ。
訳のわからない悲痛な叫び。
それでもそのまま貫かれ続ける。
四つ足の形で貪られ、放つと加納が替わった。
見つめている俺らの喉はカラカラで、目は貴之から瞬時も離せない。
いつの間にか、多岐が俺たちの後ろに来ていた。
食いたきゃほどいてやるぜ。
囁くような声だった。
次に目覚めた時、男たちはいなかった。
貴之も消えていた。
連れ去られた…?
俺はすぐにも追いたかったが、久之は強く拒んだ。
「貴之は、生まれて来なかったことにしよう」
俺は耳を疑った。
「おまえ、貴が可愛くないのかっ」
「可愛いさ! 可愛いからこそ捜さない。あんな目に遭わせた俺たちに捜されても、貴之はきっと喜ばないよ」
昨夜の断片がフラッシュする。
多岐が抱き加納が抱き久が抱いて俺も。
俺たちは四人で貴を。
貴を。
「それでも!」
「捜したきゃ捜せ。でも俺は巻き込むな。俺には弟はいないんだ」
「久之!」
俺は久之と訣別した。
以来ずっと捜し続けている。
貴之。
俺たちがその心身を、台無しにした美しい仔羊を。
見つけ出しても冷たい、憎しみの目で見られるだけかもしれない。
それでも。
新しい夜が来る。
俺の旅は今も続いている。
序章完結
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