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0.死に損ない
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僕は夜の街を彷徨っていた。
そして行き着いた、…ここから飛び降りれば僕は死ぬ事が出来るかもしれない。
橋の手すりに足をかけ、まさに今転落しようとしたそのとき、
「!?」
手を引っ張られる感覚と共に僕の体は暗い川とは反対方向のアスファルトの地面に体を叩きつけられた。
いった……っっ
近くで見える足元を見つけ、誰だ…?と恐る恐る顔を上げてみる。服装は至って普通のサラリーマンのようだったが、顔は……
ちら、と顔を上げる僕を、ムッと心底嫌そうな顔をした20後半~30代くらいの男が見下げていた。
「なに、自殺?」
ビク
怪訝な顔をする男の顔に僕は体をびくつかせる。
「……ぼくは」
「死ぬなら死ねば」
「…ッッ」
なら、なぜ助けたんだ。なぜ余計なことをしたのか…。
僕は地面についたおしりをあげ、立ち上がる。
「…はい、そうですね」
でもそんなこと言ったって無駄だ。何がどうなる訳でもない。そうだ、僕はこんな世の中が嫌いだ。だから僕は死ぬんだ。生きていても、なんの為にいるのか、価値を見いだせないから。ならば死んだ方がずっと……ずっと。
「まて」
…しつこい、この人。
「離して」
「どうせ死ぬんだろ。なら、俺の奴隷にでもなれ」
は…?奴隷…?どれいって、あのどれい?
何かの漫画の見過ぎだ。僕は片手で頭を抱える。
「…あの、僕に関わるのやめてください。迷惑です、気持ちわ…」
そう言いながらふと顔をあげた時、男の顔が悪魔のような怖い顔つきをして僕を見ていた。…何だこの人。…違う、漫画じゃない…。この人、…優しい人じゃない、本当に僕を奴隷に……
「…離してっ!」
大声をあげると、周りを歩いていた人達が僕達のことを見た。心外だけど、…よし、これでコイツも焦って逃げていく…。しかし、僕は男に掴まれていた腕を突然ぐいっと強く男側に引っ張られる感覚に目を大きくした。
そして、
「……っ、!?」
腰を引き寄せられ、僕は何故か見知らぬ男とキスをしていた。
しばらくして、放心状態の僕の体を男が離した。
「来い、死に損ないのガキめ」
僕は何かを間違えてるんだ、やっぱり。生まれてくるところから全て何もかも間違っていた。だって、ひとり、死ぬことさえ許されない…。僕は、惨めな人生しか送ることは不可能なんだ。
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