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13.映画
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ーー
週末、僕は透さんに連れられてショッピングモール内にある映画館に来ていた。
(うわぁ、久しぶりの街だ…!ポップコーンの匂い、ガヤガヤした店内の音、外の空気…!)
「おいガキ、何うろちょろしてんだ」
「…してませんが」
「してただろ。俺の半径1m以内から離れようとするな」
短っっっ!なにこの心の狭い男っっ!!絶対モテねぇな!クソ!
「お前、どうせあのポップコーン食いたいとか思ってんだろう?」
ぎくっ
「…は、はあ?別にそんなこと」
今は外だし、発言もそんなに控えないぞ僕は。いくらあんたが歳上だからって…。外にいる時の僕は強気だ。
「お前は甘い味が好きだからな。この中なら、キャラメル味がいいんだろ?どうだ、当たりだろ?」
「……」
くそう、ドンピシャだ…。
「買ってやろうか?」
ドキッ、
「い、いいっ、…いらない!」
にやっとこちらを見て笑う男に僕は苛立ちが込み上げる。僕が欲しいと分かっててわざと聞いてきてる…!この男っ!
「そうか?俺も食うから3、4個くらい頼もうか」
「…!?」
ポップコーンを3、4個も!?馬鹿じゃないのかっ?1人1個に決まってんだろ…!無駄遣いばっかりしやがって!これだから金持ちは…!
「どうだ?美味いか」
「……美味い」
「ふ」
…ああ畜生、あっという間に1個、2個と平らげてしまうキャラメルポップコーン、全てはお前の美味さのせいだからな…。
「久しぶりに映画なんて見たな。退屈だった」
シアタールームを出ると、透さんはそう言いながらふわぁと眠そうに欠伸をした。…出て早々言うことがそれかよ。この人らしいと言えばこの人らしいが。
「お前は、映画どうだった。」
「え」
「お前が見たいって言うからこれにしたんだ。面白かったか?」
…何でわざわざそんなことを聞くんだ。
「……面白かった、ですけど」
普通に見入ってしまっていたし…。
すると、男にわしゃわしゃと頭を撫でられた。!?それに驚いて上を見上げると、透さんがこちらを向いてなぜだか心底嬉しそうな表情を浮かべていた。
「なら良かった。」
「…え」
…なに、その喜んでる感じの顔。
「下にある喫茶店寄ろう。ポップコーンなんて甘いもん食ったから喉乾いた」
「う、うん」
男はそう言うと僕の肩をぐっと引き寄せて堂々と歩き出した。ち、近い…!周りの人が見てる!
「ちょ、ちょっと透さん…!」
「は?なに」
この人…ほんと何なんだ。
「僕…、一応男なんですけど…」
「知ってるけど?」
「…。あんまりくっついて歩かれるのは困りますから」
ぐいっと男の手を離しながらそう言うと、透さんがじーと僕を見るのがわかる。
「な、なにっ!?」
それにしても、この男…悔しいが足が長いっ、なんだこの長さは…っっ。
「いいや。可愛いこと気にするんだなと思って」
「…は!?」
可愛い…!!?だと……っ!!?
可愛いって言ったかこの男いまっ…!
「俺、コーヒー。ブラックで」
くそう、この男ほんとに何考えてんだ…っ。ほんとに全然掴めねえっっ。
「お前は?」
「……。…ぱ、パフェとか、頼んでもいいのか」
「…ぱふぇ?」
「っっ!だっ、ダメなら別にいい!!高いし…」
「ダメなんて別に言ってねえだろ。いいよ、いくらでも頼めば」
「…じ、じゃ、この、チョコバナナパフェ1つください」
「1つでいいのか?5個くらい頼んでも平気だぞ」
「…っそんなに食えない!!」
…畜生…欲に抗えずつい頼んでしまったが、やっぱり言うんじゃなかった。だって目の前に座ってる男が、ずっとにやついた顔で僕のことを見てる…!
「ふーん、女子高生みたいだなお前」
「ッ!さ、最近の人は男でも食うっ」
「へえ、そうか。つくづく可愛いなあお前」
……!ま、また言った……!かわいいって、かわいいって…!
「甘い物食べたいなら言ってくれれば毎日ケーキいくらでも買って帰ってやるぞ」
「、そんなこと、頼んでませんっ」
「意地張るなよ。お前は素直なのが1番可愛いんだから」
にやっとにやついた男に見つめられながらコーヒーを飲まれた。僕は店内の暑さと相まって顔から火を吹くように顔を真っ赤に染めた。
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