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20.男の欲望
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翌日の夕方、僕はいつものように仕事に行った男のために…でなく、自分の為に夕飯をちゃっちゃとこなしていった。何かない材料があれば、僕が行ってくるとこの家を出る一つの手段になるのだが、あの男が毎回多すぎる野菜やら肉を買ってくるので寧ろ献立が増えすぎて困ってるくらいだ。ほんと金持ちって嫌いだ…。
そうして何となく久しぶりに卵焼きを作ってみようと思い、箸で卵を数個溶く。そういえば、卵焼きなんてものを作ってるからふと思ったが、あの男、お昼って何食べてんだろ。毎回高級レストランまで行って食ってんのかな。そもそもあの男の仕事知らないから昼何をどこで誰と食べてるのかもわからない。普通に食堂とか?あのくそほど傲慢な男が食堂……なんかえげつなく似合わない。
とそんなことを思っていたら
「…わ!!」
やばい…、手が滑って卵を溶いてた器ごと下に落としてぶちまけた…。器がガラスじゃなくてプラスチックでよかった〜〜じゃなくて、掃除しないと…。てうわっ、どうしよ、エプロンにも付いてる!つーか普通にズボンの裾にも卵がぁぁ!
これは透さんが僕に買ってくれたズボンだし、エプロンだってわざわざ買ってくれたものなのに!……はっっ、てちがうっっ!!!何でそんなこと気にしてんだよ僕はっ!!!あの男に対して申し訳ない…とか何ほんの少しでも思ってんだよっっ、僕はバカなのかっ!?あんなサイテー野郎にちょっとでもそんなこと思うなんてどうかしてる!あの人は関係ない関係ない!そんなんじゃないけど、とにかく床掃除してズボンとか洗わなきゃっ!
ー
(う〜ん…どうせズボンとか脱ぐわけだしお風呂もう入っちゃおうかな…お風呂場で汚れたものは洗えばいいし、効率的にもいいし)
床掃除を無事終え、お風呂場に来てから僕は思った。透さんに貰ったスマホを見てみると現在の時刻は5時前辺り。どうせもうじきあの人も帰ってくるし、すぐお風呂にも入るだろうし、いっか、先に入っちゃえば。僕はエプロンと服を全て脱ぎ、浴室に入った。
(うーん、シミにならないかな…)
バシャバシャとお湯で汚れたエプロンを手で擦って洗いながら僕はふう、と息をついた。まあ付いてすぐ洗ったから大丈夫だとは思うけど…。それから椅子に座ってゴシゴシと体を洗っていると、突然がちゃっ!と横にある浴室のドアが開くのが分かって僕は目を丸くした。
「よお」
「ぎゃあっっ!!!!」
「ひでー反応だな」
ぜ、全然帰った音に気づかなかった。び、ビックリしたビックリしたビックリした…こういう日に限っていつもより早めに帰ってくるし…。
上着を脱いで白シャツにズボンを履く透さんを見て、僕は真っ裸の体を隠すように椅子に座ったまま足を閉じ、泡立ったボディタオルを持つ手を胸の辺りにあげてぎゅっと握った。
「…お、おかえりなさい…」
「ただいま。で?何でこんな時間に風呂?」
「え?」
「何かあったのか」
真顔でじっとこちらを見てくる男に僕はかあっと顔を火照らせる。
「…た、卵を溶いてたら落としちゃって、服に付いちゃって、お風呂場で洗おうかと…」
「…ふーん」
「それでついでに体も洗おうかと…」
や、やだな…男の反応が。自分で話してて思ったけど、ほんと笑っちゃうような鈍臭い話だもんなぁ、これ…。ああ恥ずかしい…っっ!正直に言うんじゃなかったかな。
「怪我は?」
「…えっっ」
怪我?男の声に顔を上げる。
「どうなったのか知らねえけど、どこも痛めたりはしてねーんだろうな」
「……?、し、してませんけど…」
器がガラスだったらヤバかったかもしれないけど。すると、透さんはふう、と1度息をついて、そうか、と言った。……なに、もしかして僕のことこの人心配してくれたの?そんなわけないじゃん、もしそうだとしてもそれは僕への愛情とかじゃない。僕に対する独占欲とか自分の飼ってる犬が傷ついたら嫌だからっていう、ただそれだけの事…。僕個人のことを心配しているわけでは…
「お前、昨日の夜あれから何で俺のこと無視してたんだよ」
「えっ」
「お前怒って部屋に行ったあと、俺が何度ノックしても開けてくれなかったろ」
…あ、当たり前だ!昨日はあんたに俺以外とは会わせない話させない!なんて言われたから腹が立って…ていうか、絶望してたんだよ!こんな哀れな自分の状況にっ!
「、よ、用はそれだけですか?早くそこ閉めてください」
僕は込み上げる気持ちを何とか自分の中に抑え、男に顔を背ける。言ったところでまた言い合いになるかするだけだ、だからいい。とにかく早くここから男に出ていって欲…
「やーだなぁ」
「……!?」
その声と、浴室のドアがパタン、と閉まるのと共に、こちらに近づいてくる男の気配に気づき、僕はハッとして浴室の中で服を着たまま堂々と立つ男に向かって顔をあげた。
「…な…、何で入ってく…」
「こんなとこ見てすんなり帰ってくわけないじゃーん。」
「…!?」
「どこまで洗った?俺が代わりに洗ってあげるぞ」
や……
「…やめろっ!!」
僕は傍に立つ大きな男を見て、一抹の恐怖を感じてその場を立ち上がり男を睨みつける。
「こ、これは犯罪だっ!セクハラだ!!」
近寄る男に僕は何とか必死にそう震える声を上げて威嚇する。しかし男の表情にはニヤニヤと愉快そうな笑みが浮かんでいる。
「ふ、何を今更。犯罪?裸見ただけじゃねーか、まだ」
まだ…!?
「うわ!ち、近づくな!寄るなよっ!触んなよ!」
「騒ぐな。それにお前の裸なんてもう知ってる。ソコも俺の手で何度かイカせてやっただろ」
「…っ!!」
「…急に静かになったな。どうした、もう反抗しなくていいのか、俺に」
口端を上げる男に腕を掴まれる。ああ、僕は一体どうしたら…。どんどんこの男のペースに嵌っているような気がする。
男に正面から裸のまま抱き締められる。泡が男の服に少しついたが、服を着たままこんなところに来た男からしてみればそんなことどうでもいいことなんだろう。
「…んっ!」
それから体を離されたかと思うと、突然男に唇を奪われて、強引にディープキスをされた。浴槽に溜まった湯気の立つお湯が遠くに見える。
「…ぁふっ…んん…もうやだっ」
カクン、と膝を折り曲げながら言う僕の体を男が胸に抱きとめて支えてくる。
「お前の尻って柔らかいよなぁ、…ほら」
「…ぁあっっ、や、やめてっ!」
そのまま容赦なく男の手が少し強めに僕のお尻を両手で揉みしだいていく。だめだ、なんか浴室の温かさも相まって、頭が朦朧として…正常な判断ができない。
「凛人、見てみろ。鏡の中にお前のひくついたアナが映ってんぞ。」
え…
男の声に僕は赤い顔でそっと男の胸元のシャツを掴みながら後ろを顔だけ振り返る。すると、そこには自分ではないような顔をした僕と、男の姿が映っていた。それから、男の手にお尻の肉を無理やり左右に引っ張られてお尻のアナを見せている自分も確かにいた。
「や、やめてよ……」
僕は消え入りそうな声で抗議する。男は僕のお尻を揉みながら僕の耳を熱い舌で舐める。
「本当ならここで一発ヤリたいさ…こうやってヒクヒク動いてるお前の恥部なんて目の当たりにしてんだ、本当は今すぐここでお前を俺のものにしたいよ」
「……や、やめ、て…」
僕は泣きながら男のシャツを強くつかみ懇願した。
「……でもしないさ。俺は、お前のことが大切だからな」
大切……?うそだ、そんなこと、絶対に…。
男の手が涙を零す僕の顔に触れ、僕の涙を拭う。
「早く俺のことを好きになれ。」
「…」
「いいや俺が必ずいつかお前に俺のことを好きにさせてみせるさ。必ず、俺無しじゃ駄目にさせて」
やめて、…やめて。もう、こんな悪い夢は、悪い冗談は、もう。
「大事にしてやる、誰よりも大切に大事に大事に扱ってやる。だから凛人…早く、俺のものになりたいと言え」
僕は悪夢から背くように目を閉じた。
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