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51.報復(透side)
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※暴力表現があります。
ー
「よお透」
俺はその後、凛人を置いて出たマンションから遠く離れた古びた倉庫の前にいた。
「朔夜」
俺は車から降り、砂利道を歩きながら、ポケットに手を入れてタバコを口にする腐れ縁の奴の元まで足を進ませる。
「アキラから聞いたぞ、お前に男を数人連れてくるように言われたってさ」
「お前には関係ないだろ」
俺は奴から顔を背けながら締められた倉庫の鍵を開け、扉を開く。
ギイと音が立ち、開かれた先には物騒な物を持った奴らがいくらかと、奴らの中心には両手を後ろに縛られ身動きのできない座る昨日の男たちの姿があった。
「透さん、お疲れ様です…!」
「「お疲れ様っす!!!」」
足を1歩進めるか進めないかの内に奴らの視線が一斉にこちらを向き、声を合わせるようにしてそう言った。
「おいやめてくれ」
俺はそれに眉間に皺を寄せて深く息をつきながらコツコツと足音を立て奴らの元まで歩いていく。
「お久しぶりですね」
「ああ。アキラ悪かったな、私情でこんな頼み事しちまって」
「全然平気っす…!でもこいつら一体どうしたんすか?兄貴に手を出したんですか?まさか」
「その兄貴ってのはやめてくれ」
首を傾げる金髪男ーアキラに向かって俺は不機嫌そうに眉を寄せる。
「あはは、すいません。どうしても昔の呼び方が消えなくて」
「昔だってお前らが勝手に呼んできてただけだろうが。それに俺は、お前らにここに来るようには頼んでないはずだぜ」
そう言って周りに立つ元暴走族のメンバーの男たちを俺は一睨みする。
「す、すみませんあに…透さん、でも俺らアキラから聞いて、いても立ってもいられなくなっちまって」
「元総長のあんたが連れてこいって言うくらいの相手だから、俺らもいた方がいいかと思って…」
俺は口々に話す男たちに向かって再び睨みを利かせる。
「俺がこの程度の奴らにやられるとでも」
すると俺を見ていた男たちが青い顔をしてぶんぶんと無言で首を横に振った。
「まあいい。俺も何人も相手をしてるほど暇じゃないんだ」
俺はそう言いながらコツコツと再び歩いて、その場に後ろ手に拘束され地べたに座り込み俺を見上げ恐怖の表情を浮かべる男を見下げる。
「どいつにしようか」
ふっと笑って昨日殴った男たちの顔を俺は物色していく。
「…お…お前は昨日の…」
すると記憶のある顔の男が唇を震わせながら俺を見上げそう言った。こいつは……確か凛人の髪を掴んでた男か。
「よし、お前にしよう」
俺はそう言って座る男の胸辺りにぐっと靴底を当てる。
「…っ!…な、なにを」
それに驚き恐怖を浮かべた目をしながらも俺を睨むように見てくる男に俺は口端を上げる。
「お前らはこの俺を敵にまわしたんだぜ、だから…それ相応の報いはきっちりとってもらう」
俺は男の胸に当てていた足を離しそのまま男の顔を横から蹴り上げた。男は横向きに体を転倒し、口から血をコンクリートの地面に向かって垂れ流した。俺は横向きになる男の顔に足を乗せ、軽く力を入れる。
「…うっ、ううっ!」
「お前らに聞きたいことがあるんだ。昨日…あの後あいつをどうするつもりだったんだ?」
ぐりぐりと男の顔を、頭を踏み潰しながら、口に薄らと笑みを浮かべて尋ねる。
「……っ…す……すびませんでしたっ…」
「はあ?」
「……ゆ…ゆるしてください、……本当に…すみませ…っゔっっっ!!!」
謝る男の腹を、俺は眉を寄せながら躊躇なく蹴る。
「ちげーよ。全然質問に答えてねぇじゃねえかよ、俺の質問に答えろって言ってんだ」
「……は…、は…」
ボロボロになりながら息を上げる男に、周りに男と同じく拘束されていた奴らが小刻みに体を震わせる。
「……どうだ?言ってみろ」
「……」
「大丈夫。正直に答えるだけさ。小学生だってできるぜ、ほら」
「………か…かわいいなとおもって…それで、」
「…」
「…お、男だってわかってたらっ…俺たちだって最初から声なんかかけなかっっう!!!」
「…なら何で解放しなかった」
再び男の腹を蹴り上げると俺は低い声でそう囁く。
「俺があの時あそこに行かなかったら…あいつをどうしてるつもりだった」
「……そ、れは……」
「言え」
睨みを利かせながら言う俺を見上げる男が、目の端に涙を溜めながら口を動かした。
「………や…ヤろうと思ってましたッッ!!でもっ本当に何もまだあの時は何もしてなっ…うぐ!!!」
「へーえ……つまりそれは俺に殺されたいって意味か、なあ」
俺に腹を蹴られぐったりとする男の体を俺は起き上がらせる。
「お前らみたいなクズに生きてる価値なんか無いんだよ。つまりここも使えなくなって当然なわけだ」
座る男の開かれた足の間にあるそれを俺は靴裏で強く踏み潰す。
「うっあ"ぁあああああ………っっ!!!!!」
「何だよ死にそうな声上げて」
「…お、お願いしますやめてくださいお願いしますっごめんなさいすみませんでした許してくださいっ許してください」
「情けねー顔だな」
笑いながらさらに力を加えて踏むと男が後に口から泡を吹き出しながらその場に体を倒し、気絶した。
弱いやつだ。調子がいいのは見かけだけらしい。
「大体なぁ、お前らがあいつをヤってたとしたら、こんなもんで済ますわけがねぇんだよ。分かるよなそれくらい。だとしたら今すぐここでお前らのアソコをナイフで滅多刺しにしてるだろうね。お前らは死んだっておかしくないことをしたんだ、俺を怒らせたんだからな」
「……」
「俺は今お前たちに百歩譲ってやってんだぜ、分かるか?ええ?お前らを半殺しにするのなんてずっと容易いことなんだぜ」
俺を見て同じように皆ぶるぶると体を震わせる男共を見て、俺はふい、と目を逸らして言った。
「もういい、飽きた。全員相手にしてたら日が暮れる」
被害者面してるこいつらに俺は吐き気がするね。でもまあ、未遂だったこともあるしこのくらいにしといてやるか。一々大きな騒ぎになるのも面倒だ。
俺は踵を返して倉庫の入口まで足音を立てて歩いた。
「おいお前ら、そこに捕まってるヤツら殴るでも解放するでも好きなようにしたらいい。」
「あ、兄貴、…了解っすっっ」
倉庫を出る間際、傍に立っていた朔夜が俺を見て肩を竦めた。
「ち〇こがいてーよ〜…俺のまで」
「アホか」
「まあでも状況見て事を把握した割には、お前の割には抑えた方じゃん。俺はまた骨の1本でも折るのかと」
「そんなことしてる時間が無駄なんだよ、こんな奴らのために時間をこれ以上割きたくない。朔夜後は頼んだぞ」
「はいはい元総長様、この元副総長が綺麗さっぱりこの場を丸く収めておきますよ。」
なんだその言い方は…。
眼鏡を掛け直し、に、と笑む奴に向かって俺は向けていた目を前に戻すと倉庫から去っていった。
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