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71.必ずお前を(透side)
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ーー
……いない。
凛人、お前一体どこにいるんだっ…!?
あれから街の中をひたすら目を凝らして探しているが、あいつの姿はどこにもなかった。
花屋に最初向かったが、この嵐だからだろう。当然のように店は閉まっていた。…一体どういうことなんだ、あいつは今何をしてるんだ、あいつに今何が起こってるんだ…!
もう一度あの花屋に戻ろう。
街中をぐるぐる探し回ってたって埒が明かない。もしかしたら花屋の奴らが何か知ってるかもしれない。
再び花屋まで車を走らせると、さっきまで暗く閉まっていたはずの花屋に電気がついていた。人影がある。…何かを話しているようだが。
「……いなくなったって、店長月草さんに何をしたのさ」
「いや…」
「まさか手出してないよね!?」
「…とにかく俺もう一度この辺から俺の家の辺りまで探してみる」
「待って!店長俺も行くよ!この嵐の中に月草さんがひとりでどこかにいるなんて、俺だって心配だよ!」
俺は今にも店から駆け出そうとする男2人の前に無言で立ちはだかる。
「…うわっ!び、びっくりした」
「……」
「…お客さん……?」
髪の一部を紫色に染めている男にそう言われ尚も無言でいると、隣に立っていた男が引き攣らせた緊張した顔をして俺の前に立った。
「…彼のことで来たんですね。」
「…彼だと?」
「……凛人君のことです。」
「…」
「彼は今この嵐の中にひとりでどこかにいます、傘も持たずに、靴も履かずに…。もう30分以上も探してるんですけど、どこにも見つからないんです」
…!!
……何…だって……。
………もう、夜の10時を回ってるんだぞ……?
…冬の夜だぞ、この大雨の中なんだぞ……、凛人…一体何があったんだ、お前に一体何が……
……ッッ…
……凛人……っ!
「もう一度俺たちで彼を探しますっ、ですから……、…!待ってっ、どこに行く気だっ…!?」
踵を帰し、花屋を出ようとする俺の前に男が道を塞ぐように立つ。
「………何の真似だ。退け」
「…あなたには行かせない。彼を、あなたの元に帰らせるわけにはいかない」
俺を真正面からじっと見つめ言う男に向かって、俺は眉を吊り上げた。
「ーー退け!!!!!」
男の体を横に押して突き飛ばすと俺は花屋を出て、車を置いて雨の中に走って向かっていった。
…
…凛人、…どこにいるっ!?教えてくれ…!
きっと今頃、何かあって、ひとりでどこかで体を震わせながら泣いているに決まってる。
…俺が行ってやらないと……
俺が早く、あいつの元に行ってやらなきゃ…っ!!
だってお前、…ほんとはすごく寂しがり屋なんだから。俺は知ってるぞ、…いつも強がってみたって、お前は結局ほんとのところは年相応のガキなんだから。
お前は、自分で思ってるよりずっと弱くて脆いんだぜ、凛人…。
凛人、俺はお前のことをちゃんと知ってるぞ…、俺はお前を見てるぞ…いつだって!俺はお前を見てきたから、俺はずっと、ずっとお前を見てきたから……!
なのに、…一体どこに行ったんだ…!
凛人…!
「凛人!どこだ…!凛人!!」
……許さないぞ、凛人……
俺を置いてどこかに行こうだなんて…
俺の元から逃げようだなんて……。
俺はそんなこと絶対、許さないぞ!!
…許さない、そうさ、俺はお前を許さない…!!!絶対に!!
俺をこんなふうに心配させるなんて……
…凛人……
必ずお前を見つけ出して、もう二度と俺の傍から離れないようにさせてやる……!!
絶対にお前を見つけ出す…!!
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