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81.苦悩
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…
『凛人、可愛い、…気持ちいい』
いや…透さんっ、もう嫌だっっ…
『嘘つくな。俺に抱かれて反応してるだろ、お前はそういう体質なんだよ。マゾっ気がある…』
違う…、僕は…こんな…道具みたいな、犬みたいな扱いは、いやだ…、嫌なんだ…
『我がまま言うな。お前を一生ここから出してやらない。もう決めたことだ。俺に逆らうな』
…いやだ、いやだ、ずっとこんなのは嫌だ…っっ!
『黙れ、お前はずっと俺のものだ。毎晩首輪に繋がれたお前を抱いてやる。お前の意思なんて関係ない。お前を快楽に溺れさせ、いつか俺に絶対服従させてやるぞ…凛人』
…やめて、…僕は、あなたの犬じゃない…
意思だってある。僕は確かにあなたよりずっと非力で頭もないけど、でも僕だって1人のひとなんだ…。
僕を、縛らないで、支配しようとしないで…!
僕、こんなこと求めてたわけじゃない…
僕はずっと、ずっと……
僕がずっと、思い描いていたのは……ーーー
ーーー
ピンポーン
はっ…と、僕はインタホーンの鳴る音で目が覚めた。まって、今何時…!?透さんが出て行って一体どれくらい時間が経った…!?
〝凛人君〟
……っ…烏堂さんが……!
僕は鎖の繋がった首輪を嵌めたままベッドから飛び降り、玄関に向かって走った。インタホーンのモニターを見てみると、そこには那月君が立っていた。
えっ…なんで?!何で那月君がここに?
もしかして、烏堂さんのことでここに…!?
「那月君っ、烏堂さんってもうどこかに出かけたっ?!」
モニター越しに僕は那月君に向かって話しかける。
「月草さん…!よかった、無事だったんだね」
ほっとするような顔をする那月君を見る。
「あ、うん…ありがとう。心配かけたよね」
「ううん、何となく理由も分かったから」
目を伏せるようにして言う那月君に僕は瞳を泳がせる。
「ごめんね、うちの店長が」
「…那月君がどうして謝るの?それにもうそんなこと気にしてないよ」
「…。…店長、今日元々出勤の予定だったんだけど、急遽休みになったんだ」
…!!
「こんなこと初めてだよ。あの人店1番の人だから、店長だから当然だけど」
「…それで那月君はどうしてここに?」
「本当は今日俺も店にいないと駄目なんだけど…なんかずっと胸騒ぎがして、もしかして店長に、…あの人に何かあったんじゃないかって」
画面越しに話す那月君を見て、僕は瞳を揺らす。
そうだ…烏堂さんの身にもう何かが起こったかも……いや、まだ起こっていない!まだ、…きっとまだ、まだ間に合う!そう信じたい。
「それで、心配になってここに来たんだ。月草さんのこと知ってるようなすごい威圧感のある男があの日花屋に来たからさ…」
「那月君はその人が関係してると思ったんだね。それで僕がその人について何か知ってるんじゃないかと思ってここに?」
「…うん」
僕は少し躊躇してから、那月君に言った。
「…今、そこを開けるね」
「え?」
「僕も、烏堂さんたちのいるところまで…君に連れて行って欲しいんだ」
「居場所を知ってるのっ?」
「…電話で話してたから、記憶だけはしてる。」
「…え?」
僕は眉を下げ、ぎゅっと目を瞑りながら恐る恐るオートロック解除のボタンを押した。こんなことしたら、またあの人に何を言われ何をされるか。でも、…そんなこと言ってる場合?烏堂さんが…、那月君の心配している人が、ピンチなんだよ。
僕は部屋の前まで来た那月君のインタホーンを鳴らす音に気づき、ドアを開けた。
「…那月君」
「!月草さん」
目の前に立つ那月君が首輪を嵌めた僕を驚いた顔をして見るのが分かった。
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