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101.異変
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「凛人……!」
ビクッ
夜、大きな声を上げながら透さんが帰ってきた。ちょうどお風呂上がりだった僕は、リビングで頭に被せたタオルを軽く手に持ちながら玄関に立つ透さんの方を見て目を瞬かせる。
…い、一体何事……?
「おかえりなさい、透さん…あの、どうしたの?」
駆け寄ってきょとんと首を傾げ尋ねると、透さんは僕を見てス、と視線を逸らした。
「ああ、いや…」
「?」
透さんは僕の横を通って家の中へと入っていった。
「今日ハンバーグだよ」
「…ああ」
そう言う透さんはどこかいつもと違う。元気がない…?迫力がない?なんだろう。
「透さんどうしたの?」
「は、」
「様子がおかしいでしょ。何かあったの?」
食卓の席に座る透さんの傍に歩み寄り再び尋ねる。すると、透さんはネクタイを緩めながら正面の席を顎で指し、座れ、と言った。
僕は大人しく透さんの前の席に座る。もう自分の分の夕飯は済ませてしまった。
「なに?」
「…」
瞳を伏せる透さんを見て僕はただ言われる言葉を待つ。
「…お前、もうこの家から出るな」
…え…?
驚いて顔を上げると、透さんが鋭い目でこちらを見ていた。どうして…。
「が、外出許可、最近出してくれたばっかりでしょ?なのにどうして…」
「何でもだ!」
ビク
「お前はここから出るな。どうせ外に出てもまた変な輩に絡まれるだけなんだ、俺の気も休まる。」
そんな…。瞳を逸らす透さんを見ながら僕は唇を強く噛む。
「まだ、トラブルは何も僕起こしてな…」
「起こしただろ!咲夜がたまたま通りがかっただけで、本当ならお前はとっくに大事になってただろ!」
「…っ!」
それは、…そうかもしれないけど…。
「凛人、いつまで子どもみたいにそうして反発してるつもりだ。自分の身も守れないくせに、外に出たいなんて安直過ぎるぞ!」
「どうして外に出ることくらいがそんなにダメなのっ?!確かにたまに…変な人に絡まれるけど、僕平気だよ!僕もう大人だし、1人でも大丈夫だよ!」
「はっ!どの口がそんなこと言ってんだ!お前のどこがどう大人なんだ!大体お前がどう感じようが俺が駄目だと言ったら駄目なんだよ!!」
僕は険しい顔でこちらを見る透さんを瞳を揺らして見つめる。
どうして、透さん…。突然、何だって言うの…?
「ほら来い!!」
「!いたっっ、…痛い!放してっっ!!」
僕は透さんに腕を強く掴まれて、自室に放り込まれる。
「あっっ!」
ベッドの上にばふっと身を倒しながら僕は声を上げる。すぐに顔を上げると、透さんがこちらに近寄ってくるのが見えた。
「な、…なにっ?」
ベッドに仰向けに倒れる僕の顎を掴み、顔を近づけてくる透さん。電気のつけていない部屋は暗く、開いたカーテンから僅かに差す外の明かりが透さんの瞳をギラリと光らせる。
「…」
「……あの…とおるさ……、…っんん」
突然口内に入ってきた舌に目を開き、抗えず、されるがままに僕は瞳を潤ませる。
「…!?」
その後、透さんにされたキスで体の力を抜かし、くたりとベッドの上に倒れていると、何やら透さんに手首と足を拘束されている感覚に気づいた。
「な…っ何するの…っっ、放して…!」
ベッドに手足を紐で括り付けられ、身動きが取れない。じたばたともがいて抗議すると、ベッドから体を離した透さんが仰向けに横たわる僕を見て言う。
「必要な時は外してやる。明日の昼も会社から帰って紐を外しに来てやる。」
「…は…」
わざわざそんなことまでする意味って何…?
ていうか、必要な時はって、何それ…!!てことはほとんどこのままってこと!?
「ま、待ってよっっ!こんなの横暴過ぎるっっ、と、トイレはっっ?!トイレはどうするのっ?」
「俺がいる時に言え、外してやる。いない時は我慢しろ」
は、はぁ……っ!?!
「そんなのありえないっっ!!絶対やだよこんなの!何もここまですることないじゃんっ!」
半ば半泣きになりながら体を動かし喚くと、に、と透さんが僕を見て口を開く。
「なんだ?漏らすのがそんなに心配か?安心しろ、俺が帰ってちゃんと綺麗にしてやる。」
「…!!」
「他の人間のものなら論外だが、お前の出したものなら平気さ。そんな心配するな」
「っっ…それだけじゃないってば!!ずっとこんな拘束されたまま過ごすなんて…こんなの拷問じゃないかっっ!」
こんなのペット相手にすらしない。そうだ、これはペット以下の仕打ちだ…。酷すぎる。
「ごちゃごちゃ言うな。俺がいいって言うまでしばらくこの生活だ。いいな」
「…!あっちょっと!!」
部屋を出ていく透さんの後ろ姿を見送るしかない。
嘘でしょ…ねえ…。
大体、今日はもうこれから寝るだけなのに縛る必要ある…!?
(あの人でなし…っっ…!)
僕は仕方なく拘束されたままため息をつき、眠りへとついた。
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