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104.見えかけたもの
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『かわいいよ、凛人』
…ああ、なんだかふわふわする…。あの男の手に触られて、口にくわえられて、僕は頭にある全ての思考を放棄する。
ここは、心地いい。何もかも考えなくていい、夢のような場所…。けれどここは幸せの楽園ではない。
……あっ…
僕は目を瞑りながら足をきゅっと強く閉じ、あの男の手にアソコを触られる感覚を想像し眉を下げ、頬を染める。
気持ちいい……もっと触って欲しい。もっと、もっと。
『いい子だ、凛人…』
『ぁっ…ぁ…』
『そう、それでいいんだ。来るんだ凛人、俺を受け入れるんだ』
ああ……透さん……。
僕は差し出される口端を上げ笑う透さんの手の平に手を差し伸べる。
『もう少し、もう少しだ…』
『ぁあっ…と…とおるさん、もう、僕…』
伸びた髪を振り乱しながらハァハァと息を荒くあげ、僕は下半身を震える両手で抑え頬を紅潮させる。
『隠すな凛人』
『ぁあっ』
僕は透さんの手に片足を掴まれ広げられる。
『……ああ、すごく綺麗だ、凛人。』
『はぁ…はぁ…』
『ココをどうして欲しいんだ。ええ?』
透さんにぬるりとした舌で耳を舐められ焦らすように囁かれる。…これは悪魔の囁きだ。
この声に応じてはいけない。
そう、わかっているのに…。
『……ぁ……』
体が熱い。火照って、もうそのことしか考えられなくて。
目の前には、僕のして欲しいことを全て悟った顔をして笑う余裕そうな男の姿が映る。
僕はたらりと、抑えきれない白濁の液体を両手で抑えたアソコから垂らす。
『…さ…触って…』
男のシャツに手を伸ばししがみつき、膝をつく。
僕に懇願された男は待ってましたと言わんばかりにニヤっと口角を上げ、僕の敏感な部分を手で荒々しく一気に扱き出した。
『ぁ…っ!や、だ、だめっ…!そんな、強くしたら…』
『ふ、体が痙攣しちまうのか?それとも、気を失っちまうのか?』
男に口の中に舌を差し込まれぐちゅぐちゅと音を立てて掻き回される。
僕は必死に震える両手で、僕の顔を掴む男の腕のシャツを掴む。
『……ああ…凛人……』
『ぁふっ…ぅっ』
僕は口内に溢れかえる自分と男の涎で息ができず、僅かに開いた唇の隙間からハァハァと酸素を何とか吸い込む。目の前の視界はぼやけ、白く歪んでいる。
『愛してる…凛人…』
透、さん……。
『…お前を愛してる。凛人、凛人…』
『とおるさ、…』
………あ……?
ふと、唐突に胸元に感じた違和感。
目線を下に落とせば、自分の心臓の辺りを透さんの手に持つナイフのようなもので貫かれていた。
『あ……ぁ……』
僕はガクリと体を前に倒す。男が倒れる僕の体を支え、僕の後頭部に優しく手を添える。
『どうして……』
僕は胸元を抑えながら痛みで歪む顔を上げ、揺らいだ瞳を透さんに向けながら尋ねた。
男は言った。
『…愛してるから』
『……え?』
すると、透さんの表情が悲しみへと変わった。そしてそれは怒りの表情に、そしてそれは企むような微笑みに、次々に切り替わっていく。
『ど…どうしたの?透さん…』
僕は男に問う。透さんは僕の体を離し、うう…と呻きながら頭を両手で抱えその場に膝まづいた。
『……い……』
『え?』
なに?…なんて言ってるの?
『……くる……、…ほん……い、のに……』
分からない、透さんが言っていることが。
あと少しで分かりそうなのに。せめて夢なら、夢くらいでなら…せめて教えてよ!!
……え、…夢?
僕は夢を見ているのか?
だんだんと覚醒していく中で、だんだんと目の前にいたうずくまっていた透さんの姿が薄れ消えていくのがわかった。
…だめ…何か大事なものが見えていた気がする…今…。覚めないで、お願い、覚めないで。
『凛人……』
透さん…!まって、行かないで…!何を、…何を伝えようとしていたの?
何に苦しんでいるの?僕はそれを知りたい。それを解決すれば…この終わりの見えない不毛な関係も断ち切れそうな気がするから。だから…だから教えて。
透さん…っっ…ねえ、もうこんなことやめよう。
あなただってもうわかってるくせに…。もしかして、わざとこんなことしているの?
ならば何故。なぜ、あなたは僕を傷つけ、苦しめるの?なぜ、なぜ……。
『凛人』
…なぜ……。
ガチャ、と玄関のドアが開いた音に僕は瞑っていた目をゆっくりと覚ました。
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