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133.見覚えのある顔(透side)
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「透」
会社に着くと、朔夜が俺を見て軽く手を上げた。
「お?なんだお前、髪なんか乱れてるぞ。」
エレベーターに乗りこむと隣に立つ朔夜からそう言われる。
「気にすんな。朝時間無くてな」
「おいおい、しっかりしてくれよな〜社長さんよぉ」
社長室の前まで行くと何故か後ろを付いてくる朔夜に俺は目をやる。
「なんでついてくる」
「いやぁタバコ吸いたいなって」
「喫煙室で吸え!」
怒鳴る俺を笑って交わし、朔夜は俺の後に続くように社長室へ入った。本当に、こいついつクビにしてやろうか。ーと。
「お?」
朔夜がそう言った。
そして、ヤツがそう言うよりも早く、俺は視界に入ってきた人物に眉をひそめた。
「お前…」
彼は座っていた社長席から立ち上がりこちらに向いてにっこりと微笑んで言った。
「どうも、旅館で会った以来ぶりだね。」
彼の隣には、眼鏡をかけたあの男もいた。今日はスーツを着ていた。
なぜこいつらが、こんなところに?
「どうして?て顔だね」
「は?」
俺の近くまで寄り、自信げにそう話しかけてくるヤツに俺はあからさまに怪訝な声を発する。
「おい透、この子は?」
お前は黙ってろ、朔夜に俺がそう言うより早く、彼に突然腕を抱くようにして掴まれた。驚くように見ると、ヤツは視線を向ける俺に向かって言った。
「ボク、七晴 幸斗(ナナセ ユキト)って言います。」
は……?
下から見上げるようにして自己紹介を唐突にしてくる。こいつ一体なんなんだ。
「…腕、離してくれないか。」
はあ、とため息をつきながらそう言いながら、七晴…?どこかで聞いたことがある、と俺は思考をめぐらせる。
そしてすぐ思い出した。そうだ、ななせ。七晴って言ったらもしかして、大財閥のあの七晴のことか?
まさかな。偶然か…?
じっと彼を真剣な目で見下ろし見つめれば、一瞬ヤツの目が泳ぎ、若干照れるような表情をした。
「お前、もしかしてあの七晴グループのななせか?」
「あ、わかっちゃった?正解。頭もいいんだ」
すると、より一層俺の腕を握る力を強めるヤツーー七晴に、やめろと言おうとした俺の声を遮るように七晴が続けて言った。
「単刀直入に言うよ。ねえ…、ボクと結婚して」
なに…?
「ーーボクと結婚してください。立花 透さん」
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