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138.誘導(透side)
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ーー
「とおるさん、待った?」
金曜の仕事終わり、仕事着のままベンチに座って足を組んでいると、クレープを手に持った七晴が俺に向かって笑顔を浮かべて駆け寄りながら言った。
「別に」
七晴は俺の隣に腰掛け、いつものように自分の自慢話やら何やらを意気揚々に話してくる。
服装はいつもより派手で、目立つ色味のある服を着ている。
「どうしたの?」
隣に座る俺の顔の傍まで顔をぐっと近づけてくる七晴から、俺は顔を逸らす。
「いや。」
「それにしても、まさかあなたが本当にデートしてくれるなんて思ってなかった…。」
七晴はひとりもじもじとしながら頬を染めている。
「まあ別に時間も空いてたからな。」
まあ俺はデートなんて思ってないんだが。
と、七晴は突然俺の隣にぴたっと寄り添うように体を密着させてき、言った。
「…もう絶対無理なんじゃないかと思ってた」
「は?」
「旅館で、あなた隣にりんと、とか言う人連れてたでしょ。」
ああ…。そう俺は呟く。
「あの人恋人なんじゃないの?ボクとこんなことしてていいの?」
そう尋ねながら、七晴は俺の左手をぎゅっとまるで恋人同士のように指を絡めて握ってくる。
俺の肩に頭を預け、完全に自分の世界に入っている七晴に俺は静かに口端をあげる。
「いいんだ。」
俺は七晴の体を離し、その場を立ち上がる。
「どこ行くの?」
辺りも暗くなってきた頃、俺は夜の街を七晴の肩を抱いて歩きながら言う。
「決まってるだろ?恋人同士が何するかくらい」
すると、こちらに向かって顔を上げた七晴の顔が一瞬かあっと赤くなるのがわかる。
「…ま、まって、ボク…あなたとそうゆうこと出来るのは嬉しいけど、その、突然すぎて…」
ここに来て焦らすようなことを言って俯く七晴に俺は冷たい目を向ける。
今まで人の体散々触りまくっといて、なに今更純情ぶってんだよ。
ちら、と七晴が顔をこちらに向ける。
俺はに、と七晴に軽く笑みを浮かべ、目の前にあったホテルに入るよう促す。
「わ…、こういうホテル初めてきた」
一旦ホテルへ入ると、七晴はまたいつもの調子で話し出しホテルの中を珍しそうに見渡した。
「なに、ホテル来たことねぇの?」
「お父様の仕事関係で来たこととか家族で泊まったホテルなら何度もある、けど」
七晴は恥じらいを浮かべた表情をしながら窓の外を見つめ言った。
「こういう、恋人同士の部屋みたいなところは、初めて来た。こんな大きなベッド、だけどひとつしかないなんて…」
俺はそっと七晴の背後に歩み寄り、腕を前に回した。
「…!…と…おる、さん」
俺は彼の耳元で囁いた。
「…そう、ベッドはひとつしかない。」
「…っ」
「もしかして誰かとこういうことするのは今日が初めてか?」
「…うん。」
「あの有名な七晴グループの一人息子なんだ、これまで大事に育てられてきたのも無理はない…」
俺はこちら側に向いた七晴の髪を撫で、優しく話しかける。
「と、とおるさん……ボク」
七晴が俺に抱きつく。俺は七晴の背に手を回した。
「ああ……嬉しい…ほんとうに夢見たいだ…」
「…」
「これまで色んな変な男に迫られてばかりだったけど…、でもあなたならいい…。あなたにならボク、全てをさらけ出せーー」
「俺になら?……て?」
「……え?」
流れる一瞬の沈黙。
そして、俺の胸から顔を上げた七晴は、俺の背後を見て瞳を大きくさせた。
「お前を楽しませてくれるのは俺じゃない。…だが、お前を抱きたいってやつが世の中にはこんなにもいるらしい。」
事前にここへ呼んでいた男たちは、俺の前まで現れると、七晴を取り囲んだ。
「……と…とおるさん…これ…なに…っ?」
途端に青い顔をしてこちらを見る七晴に向かって俺はニヤリとして笑み、男たちにこう言った。
「そいつを好きなようにしていい。処女らしいから、一応手加減してやれよ。」
ぶるぶると体を震わせ、恐怖した顔をするヤツを見て、俺はソファに座りながら満足気に煙草を吸うのだった。
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