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142.裏切り
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「……どうゆうこと…?」
僕は透さん、そして隣に立つ透さんの腕を持って微笑むあの時の男の子を見て瞳を泳がせる。
「そのままだよ。とおるさん、まだあなたには話してなかったのかな」
(……!)
「離せ…ッ!」
透さんがそう言って掴まれていた手を彼から振りほどいた。
「とおるさん、ほんと照れ屋なんだから」
「黙れ…!お前何テキトー言い出すんだ?!」
落ち着いてそう話す彼に対して、明らかに怒った様子の透さんが怒鳴り声をあげる。
「この間もボク彼と一緒にデートしました。とおるさんが仕事帰りだったので、すぐ夜になって、そのままホテルに連れていかれました」
「…え?」
「凛人違う、デタラメだ。こいつの話なんて聞くな」
透さんが僕の腕を掴むが、彼が僕の前に、これがその証拠です。と言い何か写真を渡してくる。
「…!」
それは、確かにホテルの中で抱き合う透さんと彼の姿だった。
「…透さん…どういうこと…」
透さんは同じくその写真を見て、驚きを隠せない顔をしていた。
「お前……、いや違う。あの眼鏡の男の仕業か?」
透さんの問いに彼はふふふと笑った。
「この人のことはボクが責任もって幸せにします。だから、何も心配しないでください」
「…っ…」
僕は透さんと彼を見て、唇を噛みながら踵を返し、その場を走りだしてしまった。
「凛人……っっ!!!!」
透さんの声と追いかける足音が後ろから聞こえた。
「凛人、待て!」
すぐに追いつかれ肩を力強い手に掴まれた僕は、涙を流しながら言った。
「離して!はなせ…!」
「凛人っ」
「僕に触るなっっ!」
しかし、透さんの力に敵うわけもなく、僕はその後透さんによって家まで連行された。
「凛人、違うんだ。俺はほんとに、アイツとは何も無い」
僕の両肩を掴んで透さんが言う。
「…だったらあの写真は何?どう見ても、透さんとあの子だった!」
僕は泣きながら透さんを見上げ声を上げた。
「っ…ちがう、あれは違うんだよ!」
「何が違うんだよ…っ、人のことどうこう言ってっ、自分は他所の子に手出したんだっ!」
「だから違うって言ってるだろ!!」
「じゃああの写真は何っっ!?結婚するって何っ…?」
僕はだらだらと涙を流しながら嗚咽をあげる。
「あれは…、お前も見たから分かるだろっ!?誰かに盗撮されていた。それにホテルに行ったのは、アイツを抱こうとしたわけじゃない。」
え…?
透さんは僕から目を逸らしながら言った。
「あのガキを痛い目に遭わせて懲らしめてやろうと思った、それでホテルにアイツを犯す為の男を用意してたんだ」
「……い、意味、分からないんだけど…」
「だから元々アイツを罠に嵌めるために、仕事帰りに会って、そういう素振りを見せて、油断させてたんだ。」
…何……それ……
「じゃあ…透さん…あの子を計画通り犯させたの…?」
「いいや、そうなる前に朔夜やアイツの忠犬が飛んできて何事もなく終わった」
「……」
「結婚に関しては向こうがそう一方的に言ってきてるだけで、実際にするはずがないだろう!」
僕はそれらの話を聞いて、涙を瞳からぽたりと零しながらゆっくりとそこにあった椅子に腰を下ろした。
「…透さん…どうしてそんなこと…しようなんて思ったの?」
「……」
「今の透さんの方の話が真実だとしても…、おかしいでしょ?どうしてそんな野蛮な考えにすぐ走るの…っ?」
「…黙れ、お前に何がわかる」
ふと見上げると、透さんが僕に怖い瞳を向けていた。
「俺に指図するな、俺に意見するな。お前は黙って俺の言うことを聞いてればいいんだよ」
涙で濡らす僕の瞳を透さんがじっと見つめ言う。
僕は頭の整理が追いつかないでいた。
「いやぁぁっっ」
僕はその夜無理矢理透さんに抱かれた。
「凛人、愛してる、…凛人、凛人」
苦しい。
あなたが善人じゃないと分かっていながら、そんなあなたをまだ、好きな自分が…。苦しくて堪らない。
それでもまだ…この人のことを信じたいと思っている自分が、憎くて堪らないのだ…ー。
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