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154.助けてくれた人
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次の日のバイト終わり、透さんは迎えには来てくれなかった。
(なんだよ、もう…)
外は生憎大粒の雨が降っており、人もほとんど歩いておらず、薄暗かった。
僕はバサッと傘を差してバイト先から帰路に着いた。
別に、雨が降ってるから迎えに来て欲しかったわけじゃない。徒歩でも十分な距離だしそこを気にしているわけではない。
…でも、昨日言い合いみたいなことにはなったけど、透さんは迎えに来てくれると思ってた。
なのに。
……冷たいやつ。
あんな人、…あんな人…。
僕は傘を差して歩きながら唇を噛む。
なんだよ、そんなに怒ってるのか?昨日のこと…。だって、あんなの一方的過ぎる。僕にだって、僕にだって事情はあるんだよ。僕だって…透さんとの生活を壊したくなくて、これでも頑張ってるんだよ。少ないお金だけど、僕だって色々考えて頑張って稼いでるんだよ。なのに、なのにどうして、あの人は分かってくれないんだろ……
「ーー…ぁ…っっ!?」
突然、思考を阻まれた。
…何……ッッ!!?
突然過ぎてよく分からないが、口元を真後ろに立つ誰かに強く布のようなもので抑えられていることだけが分かった。
「…んんっ」
背後の人物に両手を後ろに回されて拘束されながら、そのまま近くの物陰に連れていかれ、僕はそして、耳元にハァハァという荒い息使いがかかるのが分かり悪寒で背筋をゾクゾクとさせた。
「ハァ…ハァ…やっと君ひとりの瞬間を捕まえたよ…いつもお迎えが来てたからね……ああ…でもやっと、…君を捕まえたよ…」
声を聞き、男なことは分かった。
僕はそれから、目だけで辺りを見回し、男一人だけなことがわかったのを確認し、力いっぱい抵抗してその男から逃れようとした。しかし、
「…!」
「これ何かわかる?」
「…ふ…、…ぅ…」
目の前に突き出されたのは刃物。
「抵抗しちゃだめだよ。…君を傷つけたくないんだ、俺の言うこときけるよね?」
僕は耳元で男のその声を聞きながら鼓動をドクドクと速めた。……畜生、やってしまった。雨音で足音も何も聞こえなかった。注意はちゃんと、していたのに。
「家に帰ってからゆっくりたっぷり可愛がってやるよ…。…ハァハァ…」
男はそう言いながらお尻をなでなでと軽く撫でてくる。
「小さくて可愛い……それに、はぁっ…すごく誘われる匂いがするよ、君から…なんだこの甘い匂い…っ」
「んんんんっっ」
男の体が後ろから密着し、僕は恐怖と気持ち悪さで涙目を浮かべながら抑えられた口から声を出す。
「…よし決めたぞ…。ハァ…帰ったら君を俺の性奴隷にしてやる……、俺専属のペットにしてやるぞ…光栄に思えよ…」
「…っ…んんん、ンンーっ!!」
ちっくしょう……っっっ!
ペットだと…、性奴隷だと…っっ!?くそうっ、くそう!くそう!!!!
僕は抑えられた口元で唇すら噛めず、怒りと恐怖で体を震わせるしかない。…だけど何もできない。畜生っ…、凶器さえ無かったらっっ!
「は…っ…きれいだ…、可愛い…」
後ろから顔を覗き込まれ、僕は顔に唇を押し当てようとする男から顔を必死で背ける。
「人もいないし…ここで1発犯すか…。」
(……!!)
聞こえた男の声に僕はんーっんーっ!と抗議の声を何とか抑えられた口からあげるが。
「無駄だよ…。誰も来ない。こんな大雨じゃ。こんなところなんか。無駄な抵抗はするな。…犬の分際で」
……っっ
僕は男の手が足の間にそろりと伸びるのが分かった。
僕は閉じた瞳から、涙を零した。
……くっそうぅ……、…
……〜〜〜ちくしょううぅぅ……ッ…!!!…
…
「それがいるんだな」
それは一瞬だった。
「ーぶっっ!」
「…!」
耳に聞きなれた声が聞こえたと同時に突然僕を拘束していた男が妙な声を上げその場に倒れた。
僕は恐る恐る傍に立つ人物に向かって顔を上げた。
「…凛人、悪い。少し迎えが遅くなった」
「……ぇ…」
「俺がお前のこと、助けに来ないとでも思ったのかよ」
透さんは眉を寄せ至極不機嫌そうに言った。
僕は、瞳から涙を流しながら透さんの胸に飛び込んだ。
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