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156.心機一転
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今日から、透さんが晴れて、新しい会社で働くことになりました。
「行ってらっしゃい。」
僕はお弁当を透さんに渡しながら話す。
「ああ。お前も基本的には家で大人しくしてるんだぞ。」
またどこぞの変態野郎が…と続けて話してくる透さんにはいはい、と言い僕は透さんの体をくるりと反転させる。
「遅れちゃうよ、仕事頑張ってね」
笑顔を浮かべてひらひらと軽く手を振ると、透さんは少々怪訝な顔をして僕を見ながら仕事場に向かっていった。
「ほらタマ、ご飯だよ〜」
リビングに戻ると、僕は足元に近寄ってくるタマに餌をやった。
結局あんなことがあってから、バイトは辞めてしまった。透さんに仕事に就いたから辞めてくれと言われてしまい、それに素直に従ったのだ。
確かに透さんにもう心配かけるようなことはしたくなかったし、店長には悪いと思ったけど事情を話して理解してもらった。
〝そんなことが…!?凛人くん大丈夫だったのかいっ!?〟
本当に理解ある店長で、本当はまだ働いてたかった。
でも……
「……。」
僕には、そんなことさえも許されない…。
「ミャ〜」
ハッ…
「タマ、どうしたんだよ?」
屈む僕の膝頭に頭を擦りつけてくるタマに僕は微笑む。
「くすぐったいよ」
「ミャァ、ミャァ」
「よしよし、今日はずっと一緒にいられるよ。あとで少しだけ外に散歩にでも出かけようか」
僕はこちらを見上げるタマを胸に抱きかかえて笑みを零した。
ー
夕方、透さんが仕事から帰ってきた。
「透さんおかえり」
タマと共に玄関先まで駆け足で出向いて、透さんを出迎える。
「ああ」
透さんの鞄を持って、部屋に進んでいく透さんのあとを歩いていく。透さん、少し疲れてる顔をしてる。
「仕事どうだった?」
夕飯を食べながら僕は尋ねる。
「どーもこうも」
透さんははあ、と大きな息をつきながら食べていた動きを止める。
「面倒なことばっかりだ。口うるさい上司はいるし、同僚はアホばっかだし、女は口説いてくるし」
…うわぁ。
僕は透さんの話に苦笑いを浮かべる。
「透さん目立つもんね、見た目」
不機嫌そうな透さんを見ながら僕は呟く。
「…でも、くれぐれも変な事件みたいなことは起こさないでね」
「あーったく分かってるよ言われなくても」
「仕事、続けられそう?」
「さあな。正直言うと、今すぐあんな会社辞めたいね」
ビク
「…と…透さん」
「でも、辞めねーよ」
え…?
僕は透さんの方に瞳を向ける。
「お前と、猫の1匹くらい、どうやっても俺が養ってやる。」
…透さん…。
「だから、お前は何も心配するな。凛人」
正面に座る透さんにじっと切れ長の瞳に見つめられ僕はドキ、と胸を鳴らした。
「透さん…」
僕、僕ね…
僕も透さんの為に何かしたいな。
僕にできることって…
ードサッ
「え」
夜、仕事に備えてすぐ寝るかと思いきやベッドの上に風呂上がりの僕の体を押し倒してくる透さんに僕は目をぱちぱちとさせた。
「は、早く、寝た方がいいんじゃ…」
「冗談。ストレスたまってんだよ」
……いや、いやいや。
だからって、僕でストレス発散してこようとすんなァーー…ッッ!!!
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