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163.帰らない人
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ーパリンッ
やってしまった。
僕は床の上に誤って落として割ってしまった皿の破片を手に取る。
「!いたっ」
「ミャァ」
僕は近づくタマを胸に抱いて、割れた皿の傍から離れさせた。
(何だか胸がざわつく…一体どうしたというんだろう)
けれど、その原因までは流石に分からなかった。
ー
そして夜。
あれ…透さん帰るの遅いな。もう8時過ぎてるのに。
テーブルの上に置かれたすっかり冷めきった料理を見ながら、僕は椅子に座ってため息をつく。
連絡も何も来てない。いつもなら、遅くなる、とか何かしら来るのにな。
それからまたしばらく待っても、透さんが帰ってくる様子はなかった。
僕は嫌な予感がして、透さんに電話をかける。
しかし、留守番電話サービスに接続されるだけであった。
…どういうこと…?
どうして電話に出ないんだろう。まさか、透さんの身に何か…?
だけど、透さんがそんなヘマを冒すのだろうか…。
きっと残業をしてるんだ。それで連絡も取れなくて…。
しかし、夜12時を過ぎても一向に帰ってこない透さんに、僕は本格的な不安が胸を襲うのを感じた。
タマを抱えて眠った次の日、透さんはまだ依然として帰ってきていなかった。
僕はテーブルの上に震える手を置き、昨晩のままキレイに残された夕飯を瞳を泳がせながら見つめた。
……どうして、……帰ってこないの……
…透さん……。
僕は目の前に映る視界をぐらりとぐらつかせた。
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