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164.拘束(透side)
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俺は七星の別荘にいた。
…いてぇ……。
頭がガンガンする、これも睡眠薬のせいなのか…。
目を覚ますと、俺は自分がベッドの上に横たわっていることが分かった。両手は丁寧に拘束されており、どうやら足も縛られているようだった。
閉められたカーテンの隙間から明るい日差しが入ってきている。つまり、恐らくここで一晩過ごしてしまったということか。
「あれ、起きたんだ」
状況を確認する俺の傍でそんな声が聞こえた。
顔を上げると、七星が寝転がる俺を見下ろしてほのかに笑っていた。
「……お前……」
「これくらいしないと、ボクじゃあなたは抑えられないと思ったんだ。殺されたくないし」
「…」
「安心して。別にあなたを痛ぶろうとか、そういうこと思ってるわけじゃないよ。」
食事だって与えるし、そう続ける七星を俺は静かに睨んだ目で見つめる。
「ボクはただあなたに、ボクのことを好きになって欲しいだけ。」
七星はそう言って、俺の頬に手で触れた。
「何であんな子がいいの?ずっとボクの方が魅力的だよ、お金だってあるし、あっそうだ!今の職場から辞めさせてあげたっていいよ、ボクがあなたを養ってあげるよ」
七星のふざけた話を聞きながら、俺はハッと皮肉を含めた声を出して笑う。
「お前に養ってもらいながら一生手足縛られながら犬みたいに生きろってことか。」
くっくっ…と体を動かし笑う俺の胸元のシャツを七星が掴む。
七星は俺を見て言った。
「それと同じことを、あなただって彼にしたんじゃないの?」
……!!
「……なに…」
七星が俺のシャツから手を離した。
「言ったでしょ、あなたのことは把握してるって。ボクで調べられることは調べてある」
「…」
「彼をある日あなたが拾ったことも、それから彼を拘束して自由を奪っていたことも、何もかもね。…ボクには、2人が同じ重さの愛で繋がっているようには見えないけど」
スっと瞳を逸らしながら冷めた口調で話す七星に俺は口を開く。
「…そんなこと、どーでもいいね」
「は?」
片眉を寄せ、驚いた表情でこちらを見る七星。
「俺と凛人の愛の重さが違おうがなんだろうが、そんなこたぁどうでもいいって言ってんだよ」
後ろに縛られた両手をどうにか解けないものかと、動かしながら俺は言う。
早く帰らないと、凛人が…ー。
「はっ…」
「…」
「い、意味わかんない…!ほんとあの子も大変だよね!あんたみたいなのに執着されたら、たまったもんじゃないだろうしっ!」
声を上げる七星に向かって、俺はベッドの上に体を預けながら言った。
「…お前、誰かを好きになったことないんだな」
すると、七星がふとそばにあった机の上に手を伸ばし何かを掴んだ。そして、横たわる俺の元まで駆け寄るとナイフを持つその右手を俺に向かって大きく振り上げた。
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