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はじめて4
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コツコツとなる靴音にオレの前を歩く白い綺麗な人の足元を見た。
ピカピカに磨かれたその革靴に自分の履き古したスニーカーを見下ろすと何となく不揃いさを感じた。
ほんの数分前、慌てふためくオレに突然現れた恐ろしく綺麗なこの人は言った。
「こいつ、借りるぞ」
「あ、どぞ」
「はっ!?ちょ、新堂!?」
拒否権などないというように着ていたパーカーの襟部分を勢いよく引かれ今に至る。
途中、オレに抵抗の意思がないとわかると手を放してくれたのはありがたいが、正直何処に連れていかれるやもわからず不安ばかりが募る。
さっきからこの人無言だけどやっぱ怒ってるよな…
そもそも男同士でそういうのって何?
やっぱりレイプ扱いになって事案扱い…?
それよりも男同士でできるもんなのか!?
知識のないオレは関係ないことまで考え始めてしまう
ぐるぐる考えているとふと、綺麗なお姉さん、基おにいさんの足が止まった。
ここ何処だよ!?
考えながらただついて歩いていたため自分が今どこにいるのかすらわかっていなかった。
ただでさえ道を覚えるのが苦手なのに、
校舎の中なのなのはわかるけれど入学して間もないオレからしたらもう何が何だか…
果たして生きて帰れるだろうか…
「おい」
「はい!?」
「うるさ…」
「すんませ、」
助けなんか期待できないけれどスマホを確認する。
あ、時間
ふと目に入った時刻は始業時間を指していた。
「あ、の…」
「あ?」
「お、おれ、あの授業必修なんですけど!」
「は?」
いやさすがに逃げるためとはいえレイプ(?)した相手へこの対応はどうかと思うけれど今は本当に頭が回らないのだから仕方がない
なんていうかこの人、身長はそんなにオレと変わらないのに綺麗すぎる顔のせいか威圧感がすごいんだよ!
美人の無言は怖いをここで体験するとは…
「んなもん一緒にいたやつに代返させればいいだろ」
「や、それはよくないんじゃ…」
びくびくしながら答えるとはあ、とため息を吐かれ
「昨日の話より大事な用事がいまあんの?」
「ありません。」
間髪入れずにそう返したオレにわかればいい、と綺麗な人は壁にもたれかかった。
ふう、と息つく姿にやっぱりオレが無理をさせてしまったんだろうかと考える。
所詮オレは童貞だから想像の範疇を出ないけれど女の人でもそういう行為は身体に響く人もいると聞くし男同士も例外ではない、と思う。
「あんた、から…」
「すみませんでした!」
「は?」
綺麗な人の声を遮ってとにかく謝罪をする。
正直いま何を言われたって100%オレが悪いわけで
とにかく謝罪だと頭を下げる。
「オレ、昨日のこと…覚えてなくて…」
「…」
「だから、あの…」
だんだんと声が小さくなっていくオレに対して何か言葉が返ってくることはなく
反応を窺うようその顔を覗くとパチリと一瞬目が合った。
「なんも覚えてない、ね」
ぽつり、綺麗な人は言葉を零した。
「はじめて、だったのにな」
「っ!す、すみません!」
眉を寄せ悲しそうな表情をする綺麗な人に不覚にもドキリと心臓が鳴る。
それと同時にやはり自分がやらかしていたということがわかり尋常じゃないくらい落ち込む。
いや、オレが落ち込んでどうするんだって話だけどさ!
オレもこの人も初めてで?まじか…
何がよくある事だからだよ新堂!
これはどう見てもよく無いんことだろ!
なんて責任転換してみてもただただ俺が悪いわけで
悲しい思いをさせて、ひどいことして
本当にオレは何してるんだろう
「あの!オレにできることなら、何でもしますから!」
「…」
「はじめての責任は取りますから!」
責任、なんてどうしたらいいのかわからない
上京したての大学生に纏まった金があるわけでもないし
持っているものなんてわずかの貯金と自分の身一つくらい
ただどんな形であっても傷つけたのなら責任は取るべきだと思った。
本当に申し訳ないことをした、ともう一度頭を下げる。
しかし、そういうや否や
「へえ、なんでも、ねえ…?」
先ほどの哀しそうな表情はどこかへ
今度はニヤリと楽しそうな笑みをたたえた。
「そうだよな、はじめて奪ったんなら責任くらい取らねえとな?」
「え?」
するりと頬に触れる手に思い出せないはずの記憶がまたフラッシュバックして再び淡い熱が身体を駆け巡る。
もしかしたらオレはとんでもない早とちりをしたのかもしれない
なんて思ったのはこの人の顔を見れば仕方ないだろう
新しいおもちゃを見つけたと言わんばかりに上がった口角
笑った顔は綺麗というより可愛い、なんて思って首を振る。
ポコン、
場違いに鳴り響くオレのスマホの画面には新堂から『大丈夫?』の文字
そういえばさっき言おうとした事、と再び送られてきたメッセージ
そこに書かれていたのは
『昨日、林のこと持ち帰ったの綿貫さん…さっきの人だよ』
もっと早く言えよ!
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