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過去と君3
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耳を疑った。いろいろ聞きたかったが、俺にできるのはこいつの今言いたいことを聞くこと。
黙って目を見つめてやれば、ボロボロと大粒の涙を大きな目から流しはじめ、気がつくと俺の腹に顔を埋めてしがみつき大泣きしていた。
咲良は両親を失った。
俺はその時に決めた。俺がこいつを守る。
ずっとそばにいる。
俺は俺を育ててくれた両親と血が繋がっていない。だから俺は本当の家族という存在に囲まれて育ってこなかった。
寂しいなんて感情は小さい頃に捨てた。ちゃんと俺を育ててくれた叔父さん叔母さんには感謝している。しかし、やはり心にある壁は壊せなかった。
俺に縋って泣く咲良にどうしようもない気持ちになった。1人でいる恐怖。1人になった恐怖。これが寂しいっていう感情か、そう思った。
「咲良…俺がお前を守るよ」
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