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そのご15。sideーs
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啓斗君は、よく笑うしよく怒る。
怒るっつってもガチな時は本当に稀で
大体は恥ずかしいのを隠すみたいなプリプリしたやつ。
あれ可愛いんだよな。
…だけど、俺の前で涙を見せることなんて
滅多になかった。
目元が潤んでいても、それが外にこぼれ落ちることはなくて
俺だって別に涙もろいわけじゃないけど
俺以上に泣かない、というか泣くようなイメージは全くなかった。
のに。
…なんだよ。
俺と離れるの、そんなに嫌なの。
どんだけだよ。
「…っふは。啓斗君、お前本当可愛いな。」
俺を抱く腕はバカみたいに力が篭ってて正直痛い。
でも嫌じゃない。
まるで俺に泣き顔を見せまいとでもいうように肩口に顔を埋められ
首は傷んだ金髪がチクチク刺激してきてくすぐったいし
服越しにじんわりと湿った感覚もする。
でも全然嫌じゃない。
…あー、やっぱ鼻水だったらちょっと嫌かな。
俺は啓斗君の震えと乱れた呼吸が治まるのを
何度も名前を呼びながら、背中を撫でて待ちつづけた。
「泣くなよ。俺にまで移ったらどうしてくれんだ。」
「…っ、なれたぐ…ない…っグスッ
ずっと一緒に……たい…っ。」
これまで何度も淡泊すぎだとか
我が儘は言わないと思っていた啓斗君の唇から紡がれたのは、
初めて俺を困らせる言葉。
もっと、今までだってそういう事言ってきてくれたらよかったのに。
今になって初めて、とか
俺だって離れ難くなるんだってば。
啓斗君なら、いつもみたいに引き止める事なく送り出してくれるものだと勝手に勘違いして、
だから俺も平気なフリして笑っていようって
そう思っていたのに。
どこまでも、啓斗君は俺の心を鷲掴みにする。
「…啓斗君。顔みせて。」
「……いま、は…むり…っ。」
「みせて。」
俺は啓斗君のこめかみの辺りに両手を置くと、そのまま肩から強引にひっぺがした。
目が合った途端、赤い目からは止まっていた涙が再び溢れ出す。
こんなに年下らしい、高校生らしい啓斗君を見たのは初めてだ。
「っはは。すげー顔してんじゃん。」
「だっ、から…ズビッ 見せらんないって俺…!」
俺と一緒にいたくて
離れたくなくて
ぐしゃぐしゃになった啓斗君の顔を見るのは
無性に嬉しくて、愛おしさが込み上げて。
「本当はここ、残しておいてもよかったんだけど
次こっちにきたときは啓斗君の家行ってみてえなって思った。」
「…へ?」
不思議そうに俺を見つめる啓斗君は
一見怖そうな見た目をしておきながら、その実とってもアホで可愛くて、とにかく素直でまっすぐ。
…だけど、まだ俺はそれくらいしか啓斗君を知らないから。
「俺の知らない啓斗君、もっと見せてよ。
自分ちでセックスするスリル、味わおうな。」
「なっ……は、はぁ?!」
涙なんかすっかり止まって
ぼんっと音でも出そうな勢いで真っ赤に染まり上がる目の前の大好きなやつを見て
ベッド片付けなけりゃよかったとか一瞬下品な考えが頭を巡ったが
流石に今日くらいは我慢することにする。
「なあ、ギリギリまでこのままくっついててもいい?」
そんな身勝手な問いかけに、啓斗君は紅潮した膨れっ面のまま
俺の髪の毛に指を絡めた。
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