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遠距離恋愛13。sideーs
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何も言わない啓斗君を
静かに、ただ抱きしめた。
と、その時
せっかく起き上がったというのに
俺の身体は再び床に押し倒される。
その視界全てを遮るのは
やっぱりタイプな啓斗君の顔だ。
「…自分の事大事にとかいうなら
菅沼さんもだからね。」
「は?」
「焼肉、行った時さ
いつまで記憶あるのか知らないけど、俺の方寄りかかってキスせがんできたりめっちゃ俺我慢したんだけど。」
…んん?
ちょいまって、話が急展開すぎてついていけねえ。
「いつも飲みに行くとあんな風になるの?
そんなの俺嫌だよ。もう行かせてあげないよ。」
「え…えっと、けいとく──。」
「俺以外の前で飲むのやめて。俺以外に可愛いとこ見せるのやめて。俺以外にあんなガードゆるゆるのとこ見せたらもう絶交だから。」
「ぜっ……?」
普通そこは別れるとかじゃねえのか。
別れはしないのかよ…でも絶交……。
絶交なんて聞いたの小学校の時以来だぞ…。
はぁ〜。
もう本当に啓斗君は。
「お、おい何笑ってんの。俺本気だからね?!」
「っはは…なんか。やっぱ可愛いわ。」
「はあ?可愛いのは菅沼さんだから!」
こりゃ芦屋とは違うわ
全然違う。
不安とか、怖いって思う前にそういう邪魔なもん一掃させちゃうんだもんな。
その口一つで。
敵わねえわ。
「俺、最初はお前から離れた方がお前のためになるんだって思ってた。
啓斗君のためって言い訳して、結局いつか離れられるかもしれないのが怖くて逃げてるだけだったんだよ。」
まだ少し酔ってるだけ。
シラフじゃ絶対こんなこと言えない。
言う予定もなかった。
「でも気が変わった。」
でも、気が変わった。
「家の中は多めにみてくれよ。」
「1日1缶までだよ。」
「わかった。…ちゃんと自衛もする。」
「絶対だよ。」
「うん。
──だから、絶対俺から離れんな。」
世界で一番俺の事幸せにしろよ。
幸せだって言わせてみろ。
俺も、啓斗君がそう言ってくれるように
俺の全部で尽くしてやるから。
「…菅沼さん、ベッド行きたい?」
ぎらりと怪しく光を宿した猛獣の瞳。
一度それに目を奪われてしまえば
金縛りのように動きを封じられ、忠犬のように逆らえなくなる。
「もう…待てないからココでいい…。」
噛み付くと言う表現の方があっているんじゃないかと思えるまでに激しいキスが
俺の心も身体も全てを支配して
左耳の小さな飾りに触れる、筋張った手の持ち主は
世界征服にでも成功したかって突っ込みたいくらい満足そうに、微笑んで。
「…なあ啓斗君、いい加減俺の事名前で呼べよ。
知ってんだろ、実習の時……言ったし。」
忘れたとか、言わせねえよ。
目を丸くして
一瞬動きを止めた啓斗君は
ニヤリと薄ら笑いを浮かべて
ピアスの開けられたその場所へと唇を寄せる。
「充基(ミツキ)さん…。」
「ッ、!」
吐息を交えて耳元で紡がれた俺の名に
腹の奥深くが、啓斗君を求めて痺れた。
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