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遠距離恋愛21。sideーa
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その日の夜遅く、まだ電気のついている自宅に戻ると
菅沼が何故か自分のパーカーを抱きしめて、今までこの家で見たことのないド派手なトレーナーを着てスマホを眺めていた。
…ちなみに、啓斗くんはこっちに来る金も貯めたいだのなんだので日曜日はバイトを入れているらしく、今日の夕方に帰ったからもう居ない。
俺はそういう目で見たことはないけど、顔はめちゃくちゃいいであろう菅沼と一緒に住んでいるというのを知って
はじめは友達も、先輩も、後輩も、男女関係なく俺を敵対視してくるやつらが絶えなかったわけだが…。
鼻伸ばして自分の服の匂い嗅ぐとか不気味すぎて目も当てられない。
コレのどこがそんなに良いのかを一回ちゃんと教えてほしい。
「ただいまー。」
「んー。」
だっておかえりも言えないような奴だぞ?
だが、今日は珍しく
明日も休みでこの時間なのに、テーブルの上には酒の缶が一つも置いてない。
いつもだったら3,4つくらいは並んでて
なんなら半分くらい残ったまま寝落ちてんのに。
「シラフ?」
「そ、禁酒令出ましたっ☆」
「へー。」
あぁうん。
ちょっとよくわかんねーけど興味はない。
なんか妙に生き生きしてるけど
俺はわりと精神的にやられてるんだよな、今。
適当に冷蔵庫から食えそうなものを探して…
誰にも気づかれないまま、もしかして忘れられてんじゃないかって心配になった小さな箱を一緒に出して、テーブルの前に座る。
だが、俺のそんな気遣いをよそに
一向にスマホから離されることのない菅沼の視線。
指で何かを操作しているような動きはなくて
よほど面白い動画でも見ているのかと、その手元を覗き込んだ。
…すると、そこに見えたのは。
「……………プリクラでベロ入れんのは辞めとけよお前ら…。」
「うわっ、人のケータイ勝手にみんじゃねえよお前!」
期待通りのバカップルだった。
なんかもう逆に安心しちゃうよね。
どうぞお幸せにって感じ。
その恥じらいの無さは俺には一生わかってやれないと思うけどな。
「……なぁ芦屋、俺あと1年くらいしたら多分ここ出る。
啓斗君が、この近くの専門行こうかなって言ってて…受かったら、一緒に住むって……約束した。」
頬を染めて、もう一度服をぎゅっと掴んで抱きしめて
上目遣いで俺を見るその仕草は
酒ザコとか、こき使ってくるとか、そういうの一回全部忘れたら
確かに可愛いんだろうなって他人事のように思った。
「社会人になっても居座る予定のお前に俺はびっくりだよ。」
「あぁ?住まわせろやアシ。」
だけどやっぱ、こいつに恋愛感情抱くやつの気がしれん。
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