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蓮華のその後3。sideーa
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「ふぅ~~ん…ほんほん。…はぁ~ん?」
「……な、ですか…。」
「いやぁ~~?」
「………。」
まず初めに、結論から言わせていただくと
雅樹さんの同居者は男の人だった。
彼氏がどうのとか言いだしたから、一瞬女の人と住んでるのかと疑いもしたが
そういうわけではなかったらしい。
…なんか。
なんだろう。
顔はすごく美人なのに。
目元とかすごい綺麗で、細くて、一見女の人っぽいけど意外と声が低くて。
なのに………。
「なあ、あんまり虐めないでやって。
あれん固まってんじゃん。」
「ほほ~ぅ?君たちは既に名前で呼び合う仲なのだね??」
「おいw」
すごくむかつくのは何故でしょう。
黒髪男にリビングまで連行されると、
そこは適度に汚くて、端にはシングルサイズのベッドが1つ。
……1つ?
「ここ俺の部屋みたいなもんね。
そいつの部屋は奥にあるから。」
僕の視線の先を察した雅樹さんが慌てて弁解。
僕の肩を抱きながら、黒髪男はケラケラ笑っている。
……バカにされてるぞ、これは。
「あの、別に不貞を疑ったわけじゃありませんしさっきも言ったけど年上──…っ。」
「じゃ俺シャワってくるー。」
「おー。」
…黒髪男はすたこらさっさと部屋を出ていってしまった。
自由人にも程があるんじゃないだろうか。
こんなヤバい奴と一緒に暮らしていれば、そりゃあ雅樹さんだって面倒見も良くなるよなぁとか思ったり。
2人きりになった部屋で、改めてぐるりと見渡すと
本棚に雑に並べられているのは
『いい教師になるために』
『新任教師に読んで欲しい本』
なんていう、教師のための教育本ばかりだった。
「…雅樹さんって、教師になるんですか?」
「あぁそれ全部菅沼のやつ。」
……?
ここはあなたの部屋じゃないんですか。
実家に住んでいた時だって、僕の部屋に親の本なんか置いてなかったのに。
人と住むってよく分からないな。
「雅樹さんは?」
僕は所詮フリーター。
趣味や夢も、それに向かうための努力も気力も
全て実家に置いてきた。
人生に限界を感じた僕は、全く知らない土地で1から何か新しいことを探そうとこの地にやって来たのだ。
…その結果、まあマスターという大人の男性に憧れてお酒の名前やカクテルなんかを勉強し始めたのだが。
「俺も教師になるつもりだったんだけどー。
…なんか、世界一追いかけたくない相手が教師だからやめた。」
「……へえ。」
あまり深くは聞かない方がよさそうなその表情に
僕はそれ以上の言葉を紡ぎだすことは出来なかった。
「塾講師でもしながらそのうち就職出来たらなーくらいだよ。」
わしゃわしゃ。
僕の事を犬だとでも思っているのか
そんな風に乱暴に僕の頭を撫でると、手元のリモコンでテレビをつける。
んー、やっぱり。
聞かないでおいて正解だったかも。
どこか遠くを見据える様な、懐かしむようなその瞳には見覚えがあったから。
大方僕と間違った例の男の事でも思い出しているんだろう。
…難儀な人。
と、妙な緊張感に膝を抱えていれば
来客を知らせるインターホンが鳴った。
「おっ。来た来た。」
そう言って立ち上がる雅樹さんに、僕の頭は再びハテナだらけになる。
宅配かなにかだろうか。
それにしては少し時間が遅くないだろうか。
少なくとも、僕という客人が居ながら他の誰かを家に招き入れるなんて事はないだろうけどーーー…。
「おー!お前どうした!」
「へっへ、イメチェンすよイメチェン~。」
「誰かわかんなかったわ~。さ、上がれよ。」
招き入れるなんて……事は、ない………だろうけ、ど。
「うおー!誰だこのちっこいの!」
「初対面で辞めてもらえません???」
「あっは!わりーわりー。」
ここは僕が生きている世界とは別空間なのかもしれない。
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