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「雑誌撮影?」
「そうそう。AV男優の君に是非って話が回ってきてね。」
社長直々に呼び出された湊叶(みなと)こと叶本碧季(かなもとあいき)は、芸能事務所、カスミプロダクションに所属するAV男優だ。
AV男優なのに芸能事務所に所属しているのは、この社長とちょっとした知り合いで、諸事情があってのことだ。
碧季の本業は芸能系ではなく、レストランの経営、そしてシェフだ。
店は基本的にスーシェフに任せているが、たまに口を出したり、料理に手を出したりもする。
その職務の合間に、副業としてAVに出ている。
芸能事務所に所属している以上、AV以外の仕事も回ってはくるが、それは概ねグラビア撮影や、深夜ドラマのチョイ役、大人向け雑誌の撮影で、基本的にAV男優の湊叶を求めている。
が、今回はごく一般的な雑誌の撮影だという。
「なんでも、最高のセックスがテーマらしくてね。」
「へぇ、それで俺?」
「そう。お前の色気と、その顔を利用したいんだろうよ。」
碧季の顔は、この社長曰くフェロモンの塊らしい。
「まあいいけど。」
「じゃあ、先方にOKの返事だしておくよ。相手役はまだ決まってないらしいけど。」
「別に構わねえよ。」
誰が相手でもあまり関係ない。
自分は自分の出来ることをするだけだ。
そう思っていたのだが。
(まさかゲイのとはな。)
詳細資料が送られてきた時、碧季は驚いた。
決して同性愛に偏見があるわけではない。
しかし自分は異性愛者だし、AVの相手も女だ。
この撮影に向いているかどうかと言われると、微妙な気がする。
カメラマンの求めるものに応えられるのか、少し不安だった。
しかしOKしてしまったし、やれることをやるしかない。
この事務所には他にも撮影に適したモデルがいるし、もし気に入ってもらえなくてもなんとかなるだろう。
(相手は誰だ?)
パラパラと資料をめくると、相手役についての記載もあった。
「伊上怜(いがみれい)……最近人気の俳優か。」
写真も添付されていたが、これを組み敷く想像が出来なかった。
資料には碧季がタチ役と書かれている。
レイは顔は美人系で整っているけれど、その体躯は恵まれていて、高身長に引き締まった体、長い足に広い肩幅と、女性からモテそうな男である。
ネコ役、というタイプではない。
いきなり組み敷く、というより、この男を雌に仕立て上げるつもりでやれば、なんとかなるだろうか。
プロとしてそのくらいはやれるだろう、と碧季は思い至り、数日後の撮影に臨むことにした。
*
撮影当日、碧季は早めにスタジオ入りし、カメラマンと話したり、セットの確認をしたりしていた。
それが終わるとすぐに下着以外の衣服は脱ぎ、ガウン姿でメイクをされる。
髪は敢えてかっちりセットはせず、無造作にすることで『セックス』の雰囲気を出すという。
「よっ、よろしくおねがいしますっ!」
入り口から声が聞こえ、碧季はちらりと視線をやった。
相手役の俳優、レイだ。
「湊叶さん、ご一緒させていただきます、伊上怜と申しますっ……!今日はよろしくお願いしますっ!」
ガバッ、と頭を下げられる。
かなり緊張しているようだった。
「よろしく。あんま気負わずにな。」
「はっ、はい!!」
「伊上さん、こっちで着替えとメイクお願いしまーす!」
スタッフに呼ばれ、碧季とは少し離れたところで、レイは準備を始めた。
裸になることに抵抗があるのか、ワタワタとしている様子は初々しい。
碧季の相手を務める女優は大体慣れきっていて、恥ずかしがることもないし、むしろ碧季に媚びてくる。
自分のことでいっぱいいっぱいの彼は、悪くないと思った。
(そうだ、あいつの目に俺しか映らないようにすると思えば……)
撮影に臨む気持ちが作れた。
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