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朝起きたら俺の愛用抱き枕が銀河系レベルの超絶イケメンに変わってました
第一話(1)
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「んん……」
あぁ……今日も今日とて最高だ。俺の抱き枕は日本一。いや、太陽系一……。
俺は遠野弘(とおのひろ)。高校の教師をしている。小5のとき両親から誕生祝いにもらったこの抱き枕は、28歳になった今ようやくジャストフィット。17年間も俺に抱かれ続けてきたせいで、さすがにクッタクタのへにゃんへにゃんだ。
……でもそれがいい。いやこいつじゃなきゃだめなんだ。俺はこいつがいないと眠れない。というか生きていけない。
あぁ、愛しいぬくもり……。
「おはよ」
うわぁ……抱き枕に挨拶しちゃうとかいよいよヤバいなぁ俺。まぁどうせ一人だしいっか……。
「おはよ、ヒロ」
ほら、ちゃんと返事もかえってきたし?なんか呼び捨てされてるけど抱き枕のくせに良い声だなぁ……まぁ17年の付き合いだし、呼び捨ては当然といえば当然か。でも俺はこいつの名前知らないな……あぁ、俺の愛用抱き枕なんだし俺が名づけてやるべきか……?
「今朝は冷えるなージェイコブ」
「ユーシンだよ。うん、冷えるんだろうね。僕はヒロに抱かれてるからそうでもないけど」
「……え?」
「……ん?」
──ぱちり。目を開けた瞬間、視線がかち合った。人間離れした超絶ハイスペックな見知らぬ男に抱きつきながらの目覚めはもちろん初体験。……誰だろう。まさか強盗?
「いっさい抵抗しないので、どうか命だけは助けてもらえませんか?」
「うん、いいよ。可愛いから許す」
「……えっ」
何だって?怖い。ドン引き。明らかに俺よりはるかに年下のイケメンボーイがオッサンの階段駆け上がってる俺に真顔で『可愛い』とか言ってきた。強盗じゃなくて新手の詐欺か何かかもしれない。
「俺はこの通りしがない教職員なので、どうか他をあたってもらえませんか?」
「それは無理。僕はとっくの昔にヒロだけのものだから」
「………えっ」
あらやだ。もしかして口説かれてる?あんまり歳が離れてるのはちょっと苦手だけど、イケメンだしまぁいっか。
「この部屋にはツッコミ担当がいないね」
「えっ?……あぁ、まぁ……ツッコミはちょっと苦手かな。声張るのとか……ちょっとね」
どうしてこのタイミングで照れるんだろう。なんだか掴みどころのないイケメンだな。……とりあえずこの状況でツッコミがいないのは致命的だ。
「ここぞとばかりに声張るのとか……ちょっとね」
「……さっ、そろそろ起きて支度しないと。今朝は職員会議もあることだし、いつまでもこんな夢を見てるわけにはいかないからな」
──ぱちっ。目を開けた瞬間、目はもう開いていた。目の前の超絶ハイスペイケメンが俺をじっと見つめて、チートなイケボでまた「可愛い」なんて言った。
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