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朝起きたら俺の愛用抱き枕が銀河系レベルの超絶イケメンに変わってました
第七話(1)
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無事にというか当然ながらというか、竜美は東大医学部に合格した。「有言実行」を擬人化したような付喪神のあいつは、あれから本当に学校以外では俺と会わなかった。俺たちはこの一年間、普通の教師と生徒として過ごしてきた。
そのせいで合格発表からの帰りの電車に揺られている今、竜美が隣に座っているという久々のこの距離感だけで、俺は落ち着かない。
「早く二人きりになりたいなぁ……ね?弘」
耳元で囁く声がやけに甘い。……そう、こいつの声は危険だ。子供の頃とはもう違う……。
「大人しくしてないと家まで別行動にするぞ」
光の速さで姿勢を正した竜美。思わず吹き出しそうになるのをなんとかこらえ、電車を降りる。
「ねぇ弘、行ってみたいところがあるんだけど」
「あぁ、メシだろ?あんまり高級な店じゃなければ好きなとこに連れてってやる。合格祝いだ」
「ほんと?やった」
うぅっ、眩しい……。
久々の笑顔が本気でやばい。なんか口から出そうになった。
「……で、何ここ?」
「やっぱ来たことないんだー?よかった。僕とが初めてだね。行こ?」
……あぁ、ラブホね。
「なんだよ偉そうに。お前だって一昨年まで抱き枕だったんだから童貞だろ」
「甘いよ」
「え?」
「枕の神はいわば寝所の神……なめないで」
寝所の神……寝所の神……ジワる。
「お風呂ためてくるね」
「あぁ……うん」
今さら緊張とか……するに決まってる。だってあいつは完全にヤる気だ……。
「弘、一緒に入ろう?」
「えぇ……」
「僕がんばったよね?」
「……うん、そうだな」
一緒に風呂に入るくらい、こいつの努力に比べたら何でもない。……とはいえ隣で服を脱いでいる竜美の方を見れない。衣擦れの音がやけに生々しく聞こえる。
「先入るね」
「えっ、待って。俺が先に入る」
ぜったい後から入る方が緊張するし。
「弘、そんなに緊張しないで?昔みたいに一緒に入るだけだから」
「……しっ、してないけど?緊張とか」
「ならいいけど」
そうだよな。そもそも男同士だし、子供の頃はよく一緒に入ってたじゃないか。とにかく平常心を保とう……。
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