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朝起きたら俺の愛用抱き枕が銀河系レベルの超絶イケメンに変わってました
第七話(3)
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「ごめんね……僕のせいで29歳まで童貞処女でいさせることになっちゃって」
「……言い方」
「一生童貞でいさせることになるけどごめんね」
「やめて。傷つく」
俺はここ一年で、ほんの少しだけツッコミのスキルを習得した。だってこのイケメン付喪神には、基本的にツッコミどころしかない。
「僕は生まれつき心臓が弱かったから、どうしたら死んだ後も弘のそばに居続けられるかって……ずっと考えてた」
「……すごいなお前。ふつう死んだら諦めるぞ」
「普通はね。でも弘に頼まれたら死んでも死にきれないよ」
「……何か頼んだっけ?」
「覚えてないんだ?僕がいなくなったら嫌だって言ったの」
「……それは嫌だろ……当然」
「……うん。だから僕は生前からその方法を模索し続けて、ついに見つけた。付喪神になってずっと弘のそばにいる方法を」
俺に『いなくなったら嫌だ』って言われただけで付喪神になったのかこいつ。薄々勘づいてはいたけど、こいつは時々ピュアすぎてやばいから発言には気をつけないとな……。
「人の姿になれるまでには17年もかかったけど、これでも早い方なんだよ。普通は何百年とかいう世界だから」
「……すごすぎだろお前。何したの?」
「……まぁ色々ね。生きてる時よりがんばったからもっと褒めて?」
「……そっか。神だから見た目の年齢も自由なんだな」
「ねぇ褒めてよ?」
「俺と同い年くらいになれたりもするの?」
「……それは無理」
「なんで?」
「僕は付喪神になって18年だから、とりあえず今は実年齢のこの容姿でいることしかできない。もっと修行を積まないとね」
「……なんかずるくない?」
「えっ?何が?」
「お前だけ若いとか」
「……歳上なのに可愛いヒロの方がずるいよ」
「何度も言うけどお前の目はおかしい」
でもこいつの目がおかしくてよかった……と、今は思える。この一年で俺にも欲というものが出てきたらしい。
「ねぇ弘……もう聞かなくてもわかってることだけど、聞いていい?」
「何?」
「僕のことを愛してくれてるから、一年も僕を待っててくれて、応援もしてくれたんだよね?」
「……わかってるなら聞くな」
「でも弘の口から聞きたい。聞かなきゃ安心できない」
「……本当に心配性だなお前は。昔から何も変わってない」
「……ごめん」
「いや、変わってなくてよかった……」
どんなときでも俺に対してまっすぐで、その姿勢は出会ってから今まで一度もブレていない。だから俺は、今まで心のどこかで安心していられた。
……でも離れてみて分かった。俺はやっぱり竜美と一緒にいたい。『絶対離れない』とか、『一生そばにいる』とか……そんな都合のいい言葉を信じて甘えているだけじゃだめだ。
答えならとっくに出ている。俺はもう二度と、竜美を不安にさせたりしない……。
「……お前が好き……いや、愛してる。これからもそばにいてくれ、雄心」
「……っ……」
あぁ……また初めての顔だ。もっと見たい。もっと知りたい……。
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