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朝起きたら俺の愛用抱き枕が銀河系レベルの超絶イケメンに変わってました
第八話(1)
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「みんな卒業おめでとう。進学する者も就職する者も、家族や友人への感謝の気持ちをいつも忘れずにな」
最後まで視聴率40%以下か。俺なりに一生懸命やってきたつもりだけど、やっぱりそこまで響かなかったんだろう。「教える」って難しいな……。
「ねぇみんな……それでいいの?」
そしてお前の視聴率は最後まで100%だな竜美。イケメン滅べ。
「今日で最後なんだよ?遠野先生に気持ちを伝えられるの」
あぁもうやめて。こいつらが俺に伝えたいことなんてあるわけないし。
「遠野……先生」
「……どうした林」
「……俺バカだから大学なんて行けないって思ってたのに、遠野が……遠野……先生が……」
「もう遠野でいいぞ」
竜美に怒られるのを気にして無理してる感が半端ない。
「……遠野が諦めないでくれたから、俺は大学に合格できた。……ありがとう……ございます……」
「……馬鹿というのは自分が苦手なことを『できない』と決めつけて、努力をしない人間のことをいう……のだと、先生は思う。だから受験に向けて好きな漫画も我慢して努力してきた林は馬鹿ではない」
「……うぅっ……俺……遠野が担任でよがっだぁ……」
うわ、林が泣いた。何だこれ。卒業式マジック……?
「遠野、オレも……」
「どうした?」
お前は遠野先生って呼べよ西野。
「……うち親父しかいなくて、しかも飲んだくれの酒乱で……三者面談のときも酒臭くて暴言ばっか吐いてて……なのに遠野はめちゃくちゃ真剣に親父の話を聞いて向き合ってくれて……あのあとうちの親父、少し変わったんだ。きっと遠野が否定しないでいてくれたおかげだ。だから……」
話長いからこの辺で切らせてもらうぞ西野。
「西野のお父さんは口が悪いだけで、愛情あふれる人だ。話せばわかる。たった一人の家族なんだし寄り添ってやれ」
「……ぅッ……ありがとう……あのときの遠野……マジでかっこよかった……」
西野まで泣いた。天変地異の前触れか……?
「遠野先生!」
「どうした中村」
「たくさんの萌えをありがとうございました!ときどき供給過多すぎてしんどくて死にかけましたけど、最高に尊かったです!」
「……そうか」
熱量だけはひしひしと伝わってくるんだが、中村が言っていることは最後まで一つも理解できなかったな……。
──およそ一時間にわたり、一人一人の生徒が俺に対しての想いを語ってくれた。まさかこんなことになるとは思っていなかった俺は、中盤から涙をこらえるのに必死だった。
「よかった……みんなちゃんと見てたんだね、遠野先生のこと。……見てほしくなかったけど」
とつぜん立ち上がった竜美が何故かこちらに近づいてくる。……真顔こわい。いきなりトーンダウンした竜美の声に、教室内もざわついている。なんかやばいぞこの流れ……。
「最後に僕からも一言いいですか?遠野先生」
「……何だ山田。……おい、距離が近……んっ?」
竜美の瞳が目の前にある。唇には柔らかい感触……。
「遠野先生は僕のものです」
「……っ」
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