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朝起きたら俺の愛用抱き枕が銀河系レベルの超絶イケメンに変わってました
番外編──付喪神ユーシンの計略──
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僕が先に死んでも、弘の記憶の中で生き続けられればそれでいいと思っていた。18年前、弘のあの言葉を聞くまでは……──。
「ねぇ弘……もし僕が死んだらどうする?」
いつもの塩対応、もしくは天然ストレートパンチに備え、僕は心の防御を固めた。
「……俺も死ぬ」
「……」
分厚い装甲を一瞬で貫かれ、僕の思考はおよそ20秒ほど停止した。
「……どうして?」
「お前がいないとつまんないから」
「……そっか」
「だから死ぬな」
「弘、それ他の言い方してみて」
「……また国語の勉強?やだ」
「違うよ。他の言い方をすると弘が本当に考えてることがわかるっていう魔法」
「…………お前がいなくなったら嫌だ」
「そう!それ!」
「……は?」
「それが弘の本当の気持ち」
「……はぁ……?」
──弘にそんなことを言われてからというもの、僕は死んだ後も弘と離れなくて済む方法を探し続けた。毎日のように図書館に入り浸っていた僕は、数多の本の中からついに運命の一冊にたどり着いた。
『付喪神として生きる』というタイトルそのままの内容を綴った本の主人公にならい、僕は生前からあの抱き枕に念を込め続けた。ついでに弘に催眠術をかけることまで思いついた僕は、もしかしたら天才だったのかもしれない。
「竜美雄心が死んだら……」
「……ん……?」
「……遠野弘は、竜美雄心にまつわる記憶をすべて失う……」
「……んん……」
「竜美雄心が死んだら、遠野弘は竜美雄心にまつわる記憶をすべて失う」
「……んっ……」
適当にかけた催眠術が、まさかの現実になった。たぶん僕は天才だった。
僕が死んだら死ぬなんて、もしかしたらあの頃から弘も僕と同じ気持ちだったんじゃないか──そんな妄想が、近ごろ現実味を帯びてきている。弘は超がつく鈍感だから、まだ自分の気持ちに気づけていないだけ──そんな妄想を完全に信じ込むことで今まで生きてきた僕だけど、それもただの妄想ではなかったらしい。
僕の純粋な想いが通じたのか、それとも強く念じすぎて僕が弘を呪ってしまったのか。今となってはもうわからない……──。
「ねぇ弘」
「ん?」
「一生僕としかセックスできなくてごめんね」
「……お前が一生ぶん愛してくれるならいいよ」
「当然でしょ」
今度は『一生ぶん愛して』……か。それはもちろんだけど、僕が弘の立場なら絶対に気がつくのに。……僕の一生ぶんの愛は、一生ぶんの執着でもあるということに。
END
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