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妖精になんかならない
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「近藤部長!40歳のお誕生日おめでとうございまーす!!!」
「「カンパーイ」」
あまりの声の大きさに周りの客の視線が一斉にこちらに集まる。しかし、声の方向を確かめると、満足したのか各々の会話に戻っていった。
居酒屋に行けば、必ずと言っていいほどそういう輩が1組はいるものだ。盛り上がりを羨む者、配慮に欠けると睨みを利かす者、いつかの飲み会を思い出す者。それぞれの視線から感情が伝わってくる。
全員と感覚を共有しているようで少しおかしい。
「俺まだ40歳じゃないよ」
そう言いかけたが、残り数時間もすればそんな否定も嘘になる。ましてやせっかく開いてくれた会にくだらないプライドで水を差すのもの無粋に思えた。開きかけた口をビールで塞ぐと思ったよりも温くて思わず顔をしかめた。
近藤御幸(コンドウ ミユキ)、39歳独身、属性:魔法使い
妖精になるまで残り数時間。
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