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ケンカ
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それは、俺が中3、テツヤが中2のころ。
俺たちは人生最大の兄弟喧嘩をした。
「真兄さんはどうしてラフプレーなんてするんですか! いますぐ止めてください!」
「別にいいだろ? 大体、テツヤには関係ねぇ。黙ってろ」
「………………っ!」
俺も言い過ぎたと思った。
けど、言ったあとでは遅くて、テツヤは心底傷ついた顔をして、
「もう、いいです……」
そう言って、泣きながら出ていった。
俺はもう一人暮らしを初め初めていて、引越しをテツヤに手伝ってもらっていたのだ。
俺は、去り際のテツヤの顔を思い出す。
泣いてた。
くそっ…………。
やっぱり、あいつの傷ついた顔だけは、見たくない。
あいつには、笑っていて欲しい。
あいつだけは、特別だ。
このとき、俺はなにも知らなかった。
このケンカが二年も続くことを。
テツヤがこのとき、なにに悩んでいたのかも。
なにもかも、知らないままだった……。
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