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任すわ
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「黒子くん。君、これからどうやって帰るの?」
同じ一年の、同じクラスの、同じバスケ部に入る予定の火神くんに校門まで連れていってもらうと、一緒についてきていた監督に聞かれた。
僕は、声がした方に顔を上げます。
「もうすぐ、幼馴染が迎えに来ますよ。だから、大丈夫です」
「そうなの? けど、向こうも忙しいんじゃ……」
「それは、僕も思います。なんとかしたいんですけど……」
「おまえ、家どこだ?」
「え? ――――ですけど」
「じゃ、帰り道同じだな。俺が押してくよ」
「ホント!? 火神やるじゃない!」
「ありがとうございます、火神くん」
「おう。よろしくな」
そう話していると、遠くから声が聞こえました。
「あ、和くんきましたね」
「へ? どこ?」
まだ監督たちが見える位置ではないようで、どこだ、と言う声がします。
数分後、監督たちにも聞こえるくらいに大きな声が聞こえました。
「テッちゃん! ごめん遅れた?」
「いえ、大丈夫ですよ」
「そ? じゃ、帰ろ」
「はい。あ、それから、これから火神くんも来るそうです」
「火神?」
「あ、俺だ。家が同じ方向だったから、送ってやろうかと思ってな」
「そっか! じゃ、これからテッちゃんのことよろしくね」
「あぁ、今日はこいつの家知りたいから、ついてっていいか?」
「オッケー! じゃあ、行こう!」
「じゃ、また明日」
「さようなら、監督」
そう言って、僕たち三人は学校を出ました。
他愛もない会話をして、それなりに仲良くなってから、僕の家に着きました。
「ありがとうございました、和くん」
「おう。じゃ、また明日来るから」
「あ、いや、それも俺がやるぜ」
「へ? いいの?」
「行き道だし、一石二鳥だろ」
「ありがとうございます、火神くん」
「じゃ、任すわ」
「どうしても無理なときは、電話してくれる?」
「あ、じゃ、教える」
「赤外線出来る?」
「あぁ」
そんな会話をしてから、二人は帰っていきました。
僕は本当に恵まれていますね。
みんな、よくしてくれる。
君には、そんな人たちがいなかったんですか?
―――――――白川くん。
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