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ごめんなさい
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話しながら、僕は思い出していた。
僕がみんなにいじめられるきっかけとなったあの日のことを。
紫原くんに泣きつく白川くん。
メモを見てどうすればいいのかわからなくなってるキセキの皆さん。
「これ……、どういうことっスか、黒子っち」
問うてくる黄瀬くん。
僕はどう答えればいいのかわからなかった。
そして、視界に入る白川くん。
彼は紫原くんの大きな体に隠れて、僕に笑って見せる。
歪んだ笑みを。
狂った笑みを。
そして、彼は言ったんだ。
音にはせず。
声にはせず。
ただ、口を動かして、言った。
『もしもバラせば、今度はこいつらを破滅させるよ? それでも、いいの?』
口ぱくなのに、それは脳内で鮮明に響く言葉――――《呪い》となった。
きっと彼は本気だ。
本気でみんなを傷つける。
僕は影が薄いだけで、みなさんがいなければまともにシュートすらできない木偶の坊。
でも、皆さんは天才で。
将来有望な人たちで。
きっとバスケット界に旋風を起こすような人たちだから。
こんな僕のために、傷つくのは、間違ってる。
だから、僕は――――――。
「あ、あはは、あはははははは」
「く、黒子っち?」
「あーあ、バレちゃいましたか。まったく、白川くんには余計なことばかりされてしまいましたね。ま、もういいですけど」
「ほ、ホントに、黒子っちが……?」
「嘘だろ、テツ」
「おまえはそんなことできる奴ではないのだよ!」
「黒ちん……?」
「テツヤ、本当のことを言ってくれ」
「本当のこともなにも、これがすべてです。僕が白川くんをいじめていた。そしてあなたたちを嘲笑っていた。ただ、それだけです」
「そ……んな…………」
「嘘だ!」
「嘘じゃないですよ」
僕に失望し、絶望し、嫌悪するキセキ。
僕を嘲笑う白川くん。
皆さんを守るために、僕はすべてを背負いましょう。
僕は影だ。
光を守ることも影の役目なんだ。
だから、どんなに嫌われても、どんなに酷い目に遭っても、君たちのためなら、怖くはないです。
そう思った。
けど、実際はそううまく行きませんね。
僕の心は壊れて、
体に恐怖が植え付けられ、
目を失い、
僕はもう、皆さんを好きだと、言えないかもしれない。
ごめんなさい。
きっと悲しませた。
仲間だと思っていたのに、裏切られてしまったのだから。
ごめんなさい。
きっと辛い思いをさせた。
黄瀬くんの言う通り、これは天罰だ。
僕は仲間を傷つけた。
これはそれの代償。
もう見ることのない、あの楽しかった日々。
僕がそれを壊したんだから。
ごめんなさい、皆さん。
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