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裏切り?
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たくさ、なんで俺はこんなリアカーチャリで漕いで引いてるのさ。
乗ってたエース様は渋滞捕まってたら先に行っちゃうし、酷くね!?
俺、チョー恥ずかしいんだけど!?
許せないわぁ。
もう本当になんなのよもう。
そういや、海常ってキセキの世代、黄瀬涼太のいるとこだよね。
相手の高校どこだったんだろ。
ま、どこであっても、可愛そうだよな。
キセキ相手じゃさ。
心折れてんじゃね?
ってか、俺も見たいし試合!
置いてくなよな真ちゃん!
「うりゃぁあ!」
全力で漕いで、ようやく海常に着く。
「あ、あぁー……。はー……疲れた……」
スタミナつくけど、これは嫌だ。
絶対に真ちゃんにも引かせる。
海常の体育館の方に向かうと、いやに緑色と黄色のチカチカする頭が見えた。
「真ちゃん! 置いてくとか酷くね!? 俺、チョー恥ずかしかったんだからな!?」
「知らないのだよ」
「知らないのだよじゃねぇ! おまえにもいつか同じ思いさせてやる!」
「フッ、できるものならな」
ムカつく!
すんごいムカつくよこの鼻にかけた笑い方!
「絶対に引かせてやる!」
なんて大声で宣言すると、
「和くん……?」
小さな声がした。
「ほえ?」
声がした方に目を向けると、その先に見慣れた姿があった。
「あれ? テッちゃん? 海常の相手って誠凛だったの?」
車椅子を火神に押してもらうテッちゃんがいた。
「あはは! 奇遇じゃん! 火神もお久!」
火神とハイタッチしてから、テッちゃんの手を取って無理矢理ハイタッチ。
「テッちゃんリハビリちゃんとやってる? 前より細くない? 飯食ってる?」
「お母さんみたいですね。ちゃんと食べてますよ。リハビリもしてます」
「そっかそっか。頑張ってしか言えないけどさ。足さえなんとかなれば、目は気配とか読めばいいし」
「そんなアニメみたいにいくわけないでしょう」
「わかんないじゃん! 試してみないとさ! それに、人類初! なんて楽しそうじゃん♪」
「和くんは基本全部楽しんでますよね」
「そりゃ人生明るく楽しくありたいじゃん!」
「そうですね」
そう楽しく話していると、後ろから真ちゃんが話しかけてきた。
「…………高尾」
ビクッ
真ちゃんの声がした瞬間に、テッちゃんの顔が強ばる。
「なぁに、真ちゃん」
そう返しながら振り返ると、真ちゃんは困惑顔をしていた。
「おまえ、黒子と知り合いなのか?」
「ん? うん。幼馴染みだけど? それがどうかした?」
「幼馴染み……?」
真ちゃんの後ろから黄瀬が呟く声がした。
え? なに? どゆこと?
「み……、緑間……くん?」
「黒子、おまえ高尾まで貶める気か?」
「な!? ち、違いま……」
「嘘をつくのではないのだよ。どうせまた……」
「ちょ、ちょっとストップ! なに? なんの話?」
言い合う二人の間に立って、言葉を遮った。
ガタガタ震えるテッちゃんと、そんなテッちゃんを蔑んだ目で見つめる真ちゃん。
どうなってんの?
「高尾、おまえはなにも知らないようだな。なら、教えてやるのだよ。そいつは俺たちキセキを裏切った裏切り者だ。だから二度と近づくな」
「は、はぁ? 裏切り? テッちゃんが? んな馬鹿な」
「真実だ。その体がなによりの証拠だろう」
テッちゃんの体を指さす真ちゃん。
「まさか、この怪我、真ちゃんたちが?」
「俺は知らない。だが、裏切った代償としてイジメられていたようだ。どうせそのときのものだろう」
「な……に、言ってんの……?」
裏切りとかわかんないし。
しかもさ、仮に裏切られたとして、それで両目潰して、足折って、声聞くだけで怯えるくらいいじめていてさ、なにその言い草。
初めて真ちゃんを怖いと思った。
なんだよ、それ。
「真ちゃんごめん。今日は一人で帰ってくれる? 俺、テッちゃんと話しあるからさ」
「高尾、そんな奴と話す価値など……」
「いいから! 帰ってよ……」
まだなにか言いたそうな真ちゃん。
それを、黄瀬が止めた。
肩に手を置き、振り返った真ちゃんに無言で首を振る。
それで、真ちゃんはため息一つ吐いて帰って行った。
黄瀬も、同じ空気を吸いたくないかのように、すぐに去っていた。
俺は混乱したまま、テッちゃんに向き直る。
「テッちゃん、話、聞かせて?」
それに、テッちゃんは小さく頷いた。
「はい」
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