アダルトコンテンツが含まれます。
18歳以上ですか?
- 文字サイズ:
- 行間:
- 背景色:
-
動き出した歯車は止まらない
-
いまふとテツヤがどうなってるのか気になって、電話をしてしまった。
どうしてかけたのか、後悔している。
なにも言えず、固まってしまった。
無言でいることが、あいつに少なからず恐怖を与えるのに、一言も喋れず。
なにか言わなくてはと息を呑むと、なぜかテツヤが俺に気づいた。
兄弟だからだろか。
わからないけど、あいつは気づいた。
気づいてしまった。
気づいてくれた。
声が聞きたいと言った。
目が見えないテツヤにとって、声が相手を理解するための唯一の手段だ。
でも、声が出なかった。
まだ目的が果たされていない。
復讐が終わるまでは、会いに行かない。
――――まだ、会いに行けない。
なんで、電話をしたのだろう。
様子が知りたいのなら、和に聞けばいい。
あいつは目が見えないのだから、遠目から見に行くのだってできる。
なんで、電話なんて……。
ただ、テツヤを怖がらせるだけじゃないか。
悲しませるだけじゃないか。
「…………はぁ……」
後悔先に立たずとは言うが、まさにだ。
あいつが優しいやつだってのは嫌というほど知っている。
俺がこんなことをしているのが、悲しいのだろう。
もともと、俺がラフプレーするのをやめないから喧嘩になった。
さらには、その嫌いなラフプレーで復讐を続けている。
きっと、テツヤの心情は途轍もないだろう。
でも、それでも止まれはしない。
動き出した歯車は止まらない。
まだ終わってはないのだ。
紫原敦。
赤司征十郎。
――――そして、白川光也。
許さない。
許しはしない。
必ず、おまえらを壊してやる。
テツヤから奪ったのだから、おまえらからも奪ってやる。
そして、俺も――――。
現在の設定
文字サイズ
行間
背景色
×
64 / 116